ちろる

海よりもまだ深くのちろるのレビュー・感想・評価

海よりもまだ深く(2016年製作の映画)
3.6
是枝監督の作品らしく、特にこれといった事件もなく淡々と過ぎていくのになんかソワソワする。そんな作品でした。

地味だけど、阿部寛さんと樹木希林さんの似てないのに親子にしかみえない生々しさが凄くいい。
特に主人は母親を亡くしたばかりなので、色々と刺さったようで、男の人には特に響くものがあるかもしれません。
こらは是枝監督自身の亡くした母親への後悔を形にしたような作品で、是枝さんがそうだったようにやはり主人公も自分に納得いく自分にも近づけないしそんなに簡単に成長もできない。
主人公や是枝さんやうちの主人だけじゃなく、きっと大体の人がそんな風なんだと思う。
親に気にしてる風にたまに顔は出せても、言い訳つけて一緒に住んで世話はしない。そんな妙齢の男の複雑な贖罪の気持ちと、母親の期待しながら期待しない母性が切ない。

勿論、阿部さんもだけど、樹木希林さんだからこの映画が出来たのだと思うし他は考えられないほど樹木希林さんで詰まっていた作品です。
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