何か心に突き刺さる映画。
きっと10年後、20年後に見た時は、より深く心に突き刺さるのだろう。
流石の是枝監督作品。
作品内で描かれている生活がリアルというより、現実そのもの。
登場人物達の会話や仕草、行動が本当にリアルでどこか現実以上に現実らしく感じられます。
そして、社会に出た大人が心のどこかで思っている不安や不満を
作品内の彼等の現状・生活を通して、私達に訴えかけてきますね。
あまり触れて欲しくない部分を受け入れざる負えない現実として提示されるので、心がざわつきました。上手いです。
予告で流れる、
「なりたかった大人に、なれなかった人へ」
というキャッチコピーが本当に胸にしみます。
相変わらず樹木希林の存在感が凄まじかった。
どんな作品でも樹木希林が出ていると
特別な存在感を放っていますが、今作では よりその存在感が輝いていました。
改めて唯一無二の女優ですね。
とにかく樹木希林が話すだけで何か見入ってしまう。
人生について語らせると、ここまで説得力のある人もいないでしょう。
阿部寛に対して話している言葉が
画面を通して私達にも向けられます。
グッと色々な言葉が刺さりました。
色々と身にしみます。
阿部寛のこうはなりたくないと思っていた父親と似たような人生を送っている、あの感じも何か色々と感じてしまいます。
真木よう子・小林聡美も現実感のある日常的な描写や生活も素晴らしかったです。
個人的に主要なメンバー以外に心に突き刺さった登場人物は2人の。
・小林聡美の夫
「こいつダメだ感」は、お気に入り。
子供視点ながらも、自分の父親もこんな感じに映っていたなと 記憶が蘇りました。
本当にああいう人いますね。
・橋爪功演じる オーケストラ?講座の先生。
団地の中の小さなコミュニティで、年寄り達に尊敬されている存在。
そんな小さなコミュニティの中での
自分の存在的な価値を維持しようと、
昔話をして、自分を大きく見せようと見栄を張っているシーンは、
阿部寛と重なってもの凄く小さく見えました。
橋爪功に対する娘の目線が全てを物語っていますね。
あぁ、何か人生って何なんだと…、
何とも言えない気持ちになります。
その他にも
最後の亡くなったお父さんの知られなかった、行動もグッときましたね。
物語を通しても決して何かが大きく変わる訳ではない。
「こんなはずじゃなかった…。」
そんな思いを誰もが少しは抱きながら、
それを引っくるめて自分の人生をこれからも生きていく。
そんな人生としての普遍的なものを
何か教えられてた気がしますね。
エンディングのハナレグミの曲も
作品の余韻に浸れる素晴らしいものでした。
流石の是枝監督作品というクオリティ。
素晴らしい作品ですね。
是枝監督には個人的に「3度目の殺人」のような作風の作品よりも、
こういった人間ドラマの作品をこれからも作って欲しいですね。