「プーと大人になった僕」を観にいくのをやめて、自宅で樹木希林さんの追悼鑑賞。
代表作の中で未見の本作をチョイス。
やはり是枝作品との相性がいいというか、樹木希林さんの生身の良さが演技という枠を超えて映し出されている。
樹木希林さんの出番はほぼ家の中だけだ。
家事をしたり、突然帰ってきた息子の世話をやいたり、娘の小林聡美とおしゃべりしたり、
日常の何気ない行動や言葉に、生身の人間の肌合いや体温を画面を超えて体現することができる。
私は樹木希林さんのそんな仕草や言葉遣いに昨年亡くなった母を重ねて観ていたのたと思う。
つまらない演技をさせられた画面上の人物は、泣き崩れるが、
樹木希林さんが作り出す生身の人間は、涙流した後の行動までもきちんと見せてくれるのだ。
孫が「おばあちゃんも一緒に住もう!」て言った時のあの涙。あの表情。
ああ合掌!
ダメ息子の阿部寛の元奥さんの真木よう子に
「あんたたち、ダメなのかしらね?」て言った後の、言葉、表情、取り繕う仕草
台風の夜、阿部寛との会話。
「居なくなってから、思ったってダメよ。」
「幸せは何かを諦めないとできないもの」
「単純よ、人生なんて単純よ。」
まるで樹木希林さん、そのものの人生の教えのよう。
居なくなったんじゃないよね、希林さんは
いつまでも映画の中に生き続けている。
私たちが望めばいつでも会える!
この映画で共演した人たち、阿部寛さん、真木よう子さん、リリーフランキーさん、
「万引き」での安藤サクラさんや松岡茉優さん、
希林さんと共演できたことは一生の宝なんだろうなあ。
さて、映画に対して一言だけ。
映画としては、台風で一気に盛り上がる!
阿部寛のダメぶりが半端なさすぎて、未練たっぷり過ぎて、、、
だからこその台風の恵み。
そして、台風の後の駅前の傘の残がいの哀しさ
もう戻らない家族の姿。
壊れたもの、失くした時間は取り戻せないって、いう重い重いテーマ。
中盤までややまどろっこしいところもあるけど、
後半に差し掛かり加速度的によくなるところはさすがの是枝技術!
樹木希林さん、ありがとうございます!
強くて、しなやかで、優しいあなたが大好きです!
ゆっくり、あっちでも楽しんでくださいね。
さようならは言いません!