是枝監督は貧乏を丁寧に描きますよね。大袈裟にせず、淡々と。
あと、調子よくいかなかった人の人生。
それでも日々を歩む家族。
ドカベンを描いた水島新司のマンガを思い出します。子供の頃、家にいたら、マンガを読むよりも幸せな時間なんてなかったなあ。
苦いな・・。
リリーフランキーの台詞にあった、「時代に感謝しないとな!小さい時代に」って、すっごい皮肉だなあと思いました。
チンケな小物の男が溢れてるおかげで、興信所なんて商売が成り立ってるんだと。探偵なんか雇うのはほとんど男で、女はそんなことしねぇんだ、と。
小さい時代かぁ・・。
観てる自分の居心地の悪さ。
なんか底の浅さを見透かされてるような。いや、監督は本当に見透かしてるんだろうけど。
見透かした上で、見栄をはったり虚勢をはる人間は、とことん醜悪に見えるように描くんですよね。
小澤征悦のいけすかなさ、橋爪功の下らなさ、どちらも見事でした。
調子に乗ってくれば人が離れて、
寂しさから感謝を思い出せば優しくされ、
優しくされているうちにまた浮ついて・・
こういう波をいつまで繰り返すのか。
って日々自問自答してますが、それを繰り返すうちにいろんな人に会えたし、いろんな優しさがあることが分かったし、人の役に立てることが増えたかもしれない。
それでいいってことなのかなあ・・
一口に感想を言えない映画でした。