DJりん

海よりもまだ深くのDJりんのレビュー・感想・評価

海よりもまだ深く(2016年製作の映画)
4.1
本当に色々考えさせられる内容やセリフが満載の作品。
まず私が初めて今作を見たのは丁度去年の今頃で、また見たくなったので時間ができた今日改めて見てみた。
するとこれはどの作品にも言えることなのかもしれないけれど去年とは感じたり思ったりすることに少し違いがあった。
去年はあまり気にも留めなかったセリフに凄く考えさせられたり、主人公の現状と自分の現状を重ねて深く過去を振り返るきっかけにもなった。
確かにいくら大切に思っていても相手が生きている内にそれを伝えておかなければその思いは届かないままだよなと改めて思った。
私自身も今作の阿部とその父親じゃないけど、あまり好きではなかった祖父がいた。
そして今年の始めにその祖父は風邪が原因で亡くなってしまった。
だからこそなのかもしれないが、何か無性によく祖父の家に遊びに行った時連れて行って貰った焼肉屋が懐かしくなってしまった。。
他にはもう来年からは就活生で再来年には社会人にならなければならない今だからこそ今作の大きなテーマである「描いた未来になってる?」的な問いにも深く考えさせられた。
一応私は今も昔もそれなりに大きな夢を持っているし、自惚れに聞こえるかもしれないけれど自分にならその夢を叶え理想の未来を手に入れられると今でも思っている。
しかしいずれはこの夢も捨てなければならなくなるかもしれないし、今以上に真剣に現実を見なければならない時も来ると思う。
こんなことを考えているからこそ樹木希林の「幸せって言うのは、何かを諦めないと手に入らない物なのよ」というセリフがとても印象に残った。
確かに人生はそんなに都合良くは出来ていないから、あれもこれも全部が自分の思い通りになんてならない。
それでも人は幸せに生きていくことができる。
認めたくは無いけれどこれが現実なんだと思う。
夢も持ってないし、海よりも深く誰かを愛したこともない。だからこそ人は前に進めるし、生きていけるんだと。
納得したくない部分はあるけれど恐らくこれが堅実で幸せに生きていく為の1番大きな要素なのかもしれない。
だからここまで長々と色々書いたけれど一言で言ってしまえば現実と理想、この2つと上手く折り合いをつけて生きていくことが大事なんだと思う。
本当に作品全体を通して雰囲気が素晴らしいし、特に何かが起こると言う訳じゃないのに飽きさせない魅力がある作品なのでまだ見たことがない方達には是非オススメしたい作品だった。
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