日常の風景にノスタルジーを感じる。団地の窮屈な部屋、カルピスのアイス、お菓子の時間、夜中の会話、意味のなさすぎる遊び。見逃した瞬間の集積、遠くから見てるから欲しくなる。
思い描いた大人になれなかった中年男の話。元妻に執着したりギャンブルしたり、いつまでも過去と未来にとらわれてる。無くしたものを追いかけたり叶わない夢見たりしてる男と、諦めて幸せを手に入れようとする女が対比されていた。「どうしてこうなっちゃったんだろうね」という言葉が発せられる。樹木希林が人生の問いに対する答えをぜんぶ持ってて、ずっとおどけてるのが良かった。
台風を契機に「いま」に急速にピントが合っていくのが面白かった。真夜中の公園、嵐の中で妻と子供と宝くじを拾い集める。宝くじはメタファーだけど、その瞬間のあまりの尊さに、探していたものなんてどうでも良くなる。