オルキリア元ちきーた

好きにならずにいられないのオルキリア元ちきーたのレビュー・感想・評価

好きにならずにいられない(2015年製作の映画)
3.9
43歳、彼女いない歴=年齢
ハゲ上がってデブなオタク
機械弄りが得意で
空港の貨物輸送の仕事を地味に続け
ジオラマ作ってSRPGゲームをするのが楽しみ
ラジオのDJに電話してヘビメタを聴き
週末には1人でタイレストランで食事
母親に依存して生きる男フーシ。

手の届く範囲内で生きることは
決して悪いことではない。
自分に合った生き方はコレでいい。
恋愛とか、社会性とか
新しく何かを見つけてその道を切り拓くなんていうのは、自分には縁が無い。

でも、周りはどんどん変化していく。
自分もその現実から逃れられない。
その流れに、その変化に

自分は追いつけないから
自分はそんな器じゃないから、と

逆らっていたのは
抵抗を続けていたのは

実は、自分だったのかも知れない。

現実は、そんなに甘いものじゃない。
そう表面で分かったフリをしていた。

でも、その現実の変化の中で
必死に生きている人と触れ合ってしまったら
傷付きながら、本当の意味での抵抗をしながら
弱さを抱えながらも、それに抗い
浮いたり沈んだりしながらも
自分の生きる場所を探し続ける人を知ってしまったら

人は車のエンジンの様に簡単に修理出来るものではない
人との関係もSRPGの様にセオリーがあるものではない
出会いも別れも、修復も高揚も落胆も躁も鬱も何もかもが、その人が持つ「その人を形作るもの」なのであれば

その人と向き合うというのは
その人を否定しないこと

自分が生きてきた道を
自分が否定されて辛かった思いを
その人には与えないこと

たとえそれが報われなくても
その人が見つけられる時が来たら
選び取れる選択肢を失わない環境を用意しておくこと

それが自分には無かったとしても
せめて向き合う相手には残しておきたい。


これを「愛」と呼ばずに

何が愛なのか?