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好きにならずにいられないのHKのレビュー・感想・評価

好きにならずにいられない(2015年製作の映画)
3.6
原題は“Fúsi”(フーシ)。主人公の名前です。アイスランド・デンマーク産の映画。
無理やりポップにしたパケ写とタイトルにダマされてはいけません。
かなりリアルにイタイやつです。見終わってホッコリもしません。
一般受けするとも思えませんし、たぶん好みは真っ二つでしょう。

この映画、主人公に少しでも感情移入できるかどうかにかかっていると思います。
で・・・私は少し・・・いやけっこう感情移入できちゃいました(ヤバイ?)。
アメリカ産だと美男美女の役者を使って夢物語が一丁上がりとなりそうですが、さすが北欧系。生理的に受け付けない人もいそうなほど各キャラの存在が独特でリアルです。

この主人公、ハゲ・デブ・オタク(私自身のことは棚に上げてますが)で母親と実家暮らしの48歳。
『リチャード・ジュエル』よりもさらに巨漢で無口で年もだいぶ上です。
オフ(仕事は空港の荷物運び)の日は自宅に作った“エル・アラメインの戦い”の大きなジオラマセットにシャーマン戦車を並べたり、広場でラジコンカーを走らせたりしています。

周囲の人たちからのどストレートな言われようも惨い(笑えますが)。
ダンス教室で知り合った女性に車で、
「何か喋って。無言だと殺されそうな気がするから」
「尾行したの?変態なの?」「殺されなくてよかった」
近所の小さな女の子に自分のラジコンカーを見られて、
「それ自分の子供にあげるの?」「親戚の子にあげるの?」
「どうして大人なのに奥さんがいないの?」

しかしこのフーシ、意外と得意なスキルもあります。
メカに強い、料理が上手い、手先が器用、実は(やっぱり?)怪力・・・など。
どれも苦手な私には少しうらやましい気さえ・・・
無駄口たたかず真面目に働くから上司にも重宝がられ、経済的にも問題無さそう。
それなのに・・・う~ん。

しかし、さすが福祉国家。警察や職場の上司がジェントルなのもお国柄でしょうか。変なところに感心してしまいました。
HK

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