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また一緒に寝ようねのeyeのレビュー・感想・評価

また一緒に寝ようね(2015年製作の映画)
3.7
"また一緒に寝ようね" (2015)

首藤凛 監督作品 鑑賞第2弾

"なっちゃんはまだ新宿"(2017) 

上記作品を昨年鑑賞して以降
ずーーと過去作が気になっていた

ストーリーは

池田夏海 氏演じる 会社員の南
そして
働きもせずに養われている彼氏 荻野

2人は同棲している

荻野自身は『ある事件』をきっかけに
家の中で幻覚をみるようになる

それは

"天井にコウモリがびっしり張り付いている"

という幻覚(幻視)

荻野は 歪んだもう一つの世界の中に生きている

ちなみに『ある事件』とは

荻野の学生時代の 友人 田中は
7年間大学受験に失敗し続けていた

家の中で学ランを着ている

友人 田中の部屋の中には
"必勝"と書かれた張り紙

そして机に置かれたノートには
数字の7(受験失敗の年数)を
ひたすら書き殴っている

また別の時に田中の元を訪れた際に
部屋の電気を消し 首を括っていた

過去に生きる友人が現実に向き合えないこと

荻野自身はそれを目撃し PTSDとなる

以降 荻野も社会と参加・交流できなくなる

一方で南は高校時代の先輩 小西の家に
訪れる行動を繰り返していた

小西先輩のセリフ

「南ちゃんといると
いつもクリスマスだよー」

「南ちゃんと初めて鼻歌歌ってから
3333日目」

ちなみに鼻歌は くるりの "ばらの花"

彼はファンタジーの中に生きている

南が寂しさから小西先輩へ抱きつくシーン

小西先輩は南をファンタジー化してるため
現実的な行為を速攻で拒絶・拒否する

ほとんど三角関係というほどの関係ではない

直接的な表現よりも
間接的な隙間のあるようなストーリー

学生→社会人
社会人←学生

昔のイメージを持ち続けていて
代わり映えのない日常に生きてる

無機質で機械的な日常は淡々としている

同棲する2人はかつて
恋愛の初期に体験したであろう

自分が相手をどう思っているのか
相手にどう思われているのか

そういう部分を超越すらして
盛り上がりの中で盲目にすらなっていた

作品の言葉を借りると

"ファンタジーの世界で誰かと一緒に
何かを信じることができるか"

それに尽きる

ファンタジーは いつか醒めてしまう

実際 南にはコウモリは見えず 荻野に対し
一緒にファンタジーの中にいるフリをしてる

劇中 出会った頃や付き合い始めた頃に
戻りたいと願望を漏らす場面がある

物語が進むなかで職場の同僚が
学生時代から付き合ってる彼氏がいる南に諭す

「あんたさ、今の彼氏と別れなよ(略)
学生時代は夢の中なんだよ(略)
きっと一生思い出すよ(略)
その頃の幸せは幸せじゃないんだよ」

現実とファンタジーの世界を
行ったり来たりするなかで

南は確実に現実を生きている

小西先輩への別れのTELでは
ファンタジーの世界にいなかったことを告げる

ラスト

住んでいるマンションが火事になる

赤ん坊の泣き声が聞こえ

今いる階が"4階"と確認する

窓から飛び降りようとする

"4→死"

っていう展開で幕を下ろす

と思ったが 結末・核心部分の真相はいかに

社会人は学生とは全く異なり

単一的な日常になってしまいがちであり
繰り返される日常の中で幸せや変化を見つける

それはこの後の作品

"なっちゃんはまだ新宿"(2017) 

にも繋がっている
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