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ある戦争の3104Arataのレビュー・感想・評価

ある戦争(2015年製作の映画)
3.8
【世界平和と個人の感情・状況を天秤にかけることで問題提起される深く考えさせられる戦争映画】
・主人公には家族がありました。彼は、とある紛争地帯に展開しているある部隊のリーダーです。彼の部隊が敵から総攻撃を受けました。彼らは壁に身を隠し、反撃の余地すらありません。仲間は打たれます。このままだとやられてしまうと考えた彼は、軍に空爆を要請します。その後、空爆が遂行されたことでなんとか彼らの部隊は全員が死ぬという事態は免れました。しかし、、、その後、彼のとった行動が告訴されました。理由は、民間人を殺したから。

・この裁判の論点は「敵を確認せずに攻撃したか否か」でした。告訴した側の言い分は「そんなことがまかり通っては世界の平和は乱れる」。一方、弁護する側は「確たる証拠もなしに「敵を確認していない」ということを前提に裁かれると世界の平和は乱れる」。概要のみを記載していますが、ざっくりいうとこんな感じでどちらが正しいのか、をベースに話が進んでいきます。

・どちらの言い分も理解できますが、正しさを判断できない難しさがあります。ただ、「殺されそうになった仲間を助けたい」というリーダーの気持ち。とはいえ民間人を殺したことで罰を受け入れようとする主人公に対して彼の妻が「知らない国の知らない人のことより自分たちの家族を大切にして」という発言。世界平和を観点とした議論をしながらも、一人の人間とその家族の葛藤が同じ天秤にかけられた感じで、本当になんとも言い難い内容になっています。何が・誰が正しいのか、を深く考えさせられる作品だと思います。
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