ある戦争の作品情報・感想・評価 - 30ページ目

「ある戦争」に投稿された感想・評価

yeste

yesteの感想・評価

4.0
上官として、父として、夫として、そして被告として、戦争に直面する主人公の描写が素晴らしい。

彼を取り巻く部下や家族、また戦地の民間人や見えざる敵との関係が、緊張感を抜き差ししながら全編通して描かれることで、クライマックスでの心情共感は最高潮。

ズシリと重い感情が残るラストに、彼の今後に幸あれと願わずにいられない。
norisuke

norisukeの感想・評価

4.5
監督・脚本が、デンマーク映画「偽りなき者」の脚本家による作品だと知って、絶対観たいと思っていた作品。しかし、そのこと以外の事前情報が、記憶から抜け落ちていたので、映画が始まってしばらく、映し出されている戦場がどこであるのかわからなかった。 デンマークがアフガニスタンに派兵していたことを知らなかった。主人公が誰であるのかを理解するにも時間がかかった。

映画は、戦場の兵士たちと、デンマークで暮らす父親不在の家庭の様子を交互に映し出す。しかし、ある時点で舞台はデンマークに絞られる。主人公が帰国するのだ。アフガニスタンに駐留していた部隊の隊長であった主人公は、敵の存在を確認せずに爆撃を指示し民間人を犠牲にしたという嫌疑によって、軍法裁判にかけられる。問題となった主人公のその指示は、負傷した兵士を救うためには、どうしても必要なものだった。

裁判では倫理が問われる。秤にかけられる、デンマーク兵士の命と、アフガニスタンの民間人の命。命がけの戦闘中に仲間を救うために下した瞬時の判断を断罪することは酷な気がしてしまう。多くの国では、裁判にかけられることすらないだろう。しかし他方で、犠牲となってしまった子どもを含む民間人の命を軽んじてはならない。主人公の有罪を求める法務官も、無罪を求める弁護士も、誤った判決は世界を良い方向に導かない、と主張する。判決が有罪でも無罪でも、きっぱり割り切れない、複雑な思いが残る。

主人公が息子を寝かしつけようと、息子に掛け布団をかけてやりながら、ふと息子の足を凝視する場面がある。さりげない日常の中に、戦争による深い傷が心を突き刺す一瞬を見事に捉えている。

説明を排した淡々とした描写の中に、正義とは何かを真摯に問いかける。心をえぐられた。
いち麦

いち麦の感想・評価

5.0
前半の凄惨な戦場描写は重要な要素ではあるが、リアル・ドキュメンタリーも含め多くの既製作品が重なりちょっと食傷気味。だが、後半からのドラマ展開には一気に引き込まれた。自ずと立場を違えた被爆地区住民の視点を想像せずにはいられない。
一番尊い人命を奪い合うのが戦争だから起こり得る様々な状況の下、ゲームじゃあるまいし国際人道法なんてルールが如何に無力で虚しいものかが良く響いてくる。家族の歪みやクラウスのキャラ等、必要なパーツを全て描出し、見る者の心に大きく揺さぶりを掛けてくる。秀作。
アフガンに派遣されたデンマーク軍部隊の隊長が主人公。
彼はタリバンとの戦闘中に下したある命令を巡って、罪に問われる事になってしまう。
前半はアフガンの戦場の日常と、彼を待つ故郷の妻子の日常が交互に描かれ、後半は前半を受けての裁判劇となる。
主人公は誰もが感情移入出来る良き人。
ならば彼のした事を容認できるのか。
究極の戦場のジレンマに、自分が彼の立場だったらどうするか。
現在の戦争に参加するということは、こうした法的裏付けも問われる事になるんだな。
これは日本人も全く人ごとでない問題作。
わい

わいの感想・評価

-
カリコレにて。

戦争ものが好きなので・・オスカー外国語賞ノミネートでもあるし。
公開決定済なので急がなくてもって思ったんだけど、モーニング限定だと水曜に行けないしと(笑)

前半がアフガンでの様子と残された家族のシーンが差し込まれつつ、後半は軍事法廷がメイン。
欧州軍のアフガンでの様子は、他の映画(デンマークのドキュメント「アルマジロ」やドイツ映画「クロッシングウォー」など)でも観ているので、まぁだいたい想像できるという感じではあって。。
ただ主人公のクラウスが本当に真っ当ないい人(なんて表現なんだ)で、部下や家族を守りたいという思いと、民間人の死の原因を作ったという罪悪感に悩むところにはやっぱり同情というか、肩入れしちゃうかな。

実際真実を証言しようとするのを奥さんに止められて。
でもあの奥さんの発言も簡単に批判できるものではない・・というか、そうだよなぁと思ったりするし。

確かに戦場で何をしてもいいってわけではないし、その法律は必要だと理解するけど、どうしても現場にいない人がそれを主張すると(もちろん代弁せざる負えないけど)どうにも自分は・・・
のん

のんの感想・評価

3.8

決して娯楽作品ではない。
感動ものでもなく“現実を学ぶ”そして“考える”映画。

「戦場と法廷を舞台に、正義と命の尊さを問う」(チラシより)

今年はナチス関連の映画が多く上映されている事もあり戦争(歴史)映画を何作も観たけれど、この作品は「今起きていること」その「戦場」を考えさせる良作だった。
何より視点がフェア。
ほとんどドキュメンタリーのように描かれていて、それだけに重いけれど押し付けが排除されていて良い。
(ラース・フォン・トリアー監督に影響を受けているとか)

法廷の場面も、私はどちらも正しいと思うし、どちらもアリだとしか思えない。

今現在、戦場にある民間人・そして兵士達……。

投げ掛けられた問いに悶える。
ラストに深み。
yh

yhの感想・評価

3.7
戦地における戦争の見え方と法の場における戦争の見え方の乖離と、その狭間にある倫理観の揺れ動く様を描いた作品。

戦争における正義をテーマとして家族にフォーカスする物語は既視感がありましたが、ここまで法律のいやらしさをわかりやすく強調されると、少し新鮮さを感じます。

特に、検察官が自分の意図した証言を引き出した時の勝ち誇った表情のウザさが半端なく、法の場の人間が戦争の現実を全く理解していない様子が、倫理観の拠り所のなさを強調しているようでした。現実はどうかわかりませんが。

子供の使い方があざといのが気になるのはもうどうしようもないですが、足のくだりは良かったです。
1日の終わり
子供を寝かしつける度に
これから先ずっと
苦しみ続けていくのだろうか…
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