「見えないものを見えるようにし」
「見えるものを見えないようにする」
という対比。
主人公の雄三はこう書くと魔術師のような男だが、よく考えると「見えないものを見えるように」は“できていなかった”ことに気づく。それでも女は泣き、僕の心も揺さぶられる。それはまるごと、“映画という虚構の存在”に迫っていると言ってもいいかもしれない。
本音と嘘の曖昧さを物語るお話。
(寝ても覚めてもにも通じる)
このジャケットのショットがすごく好きだ。彼女をきっかけとして出会った2人が、彼女を媒介として会話をしているように視覚的に表現される場面。
人と人の間に人を置く(あるいはカメラを置く)ということの意味を考えたくなる。
2020.3.29再見