アラサーちゃん

太陽のめざめのアラサーちゃんのレビュー・感想・評価

太陽のめざめ(2015年製作の映画)
3.5
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「太陽のめざめ」
16歳になる不良少年マロニーは、悪さをしては若い母親とともに少年裁判所に呼び出されていた。教育係すら匙を投げる問題児の彼を幼い頃から知る担当判事のフローレンスは、彼を更生施設に送り、堕落した生活から立ち直れるように取り計らう。はじめは田舎の施設に反抗的だったマロニーも、根気強く彼に向き合う指導員や新しい教育係のヤン、遠くから気にかけてくれるフローレンスや、指導員の娘テスらの存在で、少しずつ心の変化が見え始める。順調に更生に向かうマロニーだったが、様々な障壁に阻まれ、彼の生活は逆戻りしてしまうことになる。2015年、仏。

こういう映画を見ると、どうしても職業柄な目線で見てしまうからなんとも言えないんですけど。
ここでいう教育係は日本で言う保護司的な存在なんだろうな。でも、保護司よりもさらに幅広く動けるというか、よりフォーマルな支援ができるというか、ソーシャルワーカーに近い。素晴らしい制度だと思う。日本じゃ更生保護の福祉的支援がまだまだ足りないもんね。

この家庭は誰が見ても母親を教育しなきゃ何も変わらないってわかる。でもどれだけダメ母だろうが、マロニーにとっては唯一の肉親で、誰よりも心の支え。それがわかっているから、「担当判事」っていう枠から決してはみ出てはいけないフローレンスも、彼らを見守ることしかできない。
グザヴィエ・ドランの「mommy」、ドランの演出とかじゃなくて単純にストーリーに魅力を感じる人は好きかもしれない。

それにしてもマロニー役を演じたロッド・パラド(@rod_paradot)。この子すごいね。びっくりした。何だこいつって思った。
ママへの電話に「会いたい」って泣くとこ、大人との会話のなかで笑って子供らしさがかいまみえるとこ、テスとの不器用なセックスシーン、大人の些細な言葉に傷ついて一生懸命暴力性を抑えようとしているところ。
どのシーンのどんなしぐさも、つい目を奪われちゃうみたいだった。この人は今この表情で、こんな行動で、いったい何を考えてるんだろうってすごくすごく惹かれた。
将来有望そうだよね。役柄なのかまだちょっと野暮ったいけど、この先いろいろ出たらめちゃくちゃイケメンになりそう。

ラスト前のどしゃ降り。これまでの悲惨なできごとをすべて洗い流すかのようなシーン。

ほとり座で観たのはこれでした。