珍しく予告編を観ずに鑑賞したので、『イット・フォローズ』のようなセックスしたら幽霊が見えるようになっちゃった映画だというのを観てる途中で知ってビックリ!!
大学生のホリーは、アルバイト先のスーパーマーケットで働いている同僚のロブに恋心を抱いていた。だが、ロブは恋人ニーナを交通事故で亡くして以来、ずっと失意に暮れていた。そして、次第にロブもホリーに惹かれていく。お互い付き合い始めて、いざベッドインしてみると、ベッドのシーツの下から死んだはずのニーナが血まみれ全裸の姿で現れたではないか。その後も、ロブとホリーがセックスする度に現れては2人の恋を邪魔するニーナ。かくして、男1人・女2人(内1人は幽霊)の奇妙な三角関係が始まるのだった。
本作は『イット・フォローズ』ようなセックスが媒介となる幽霊映画。主人公が、とり憑かれてから「じゃあ、どうすりゃいいのよ？」というところで右往左往する姿が似ていた。ただ、『イットフォローズ』がひたすら逃げていたのに対して、本作『死の恋人ニーナ』は敢えて距離を縮めようと試みる。3Pしてみたり、ロブがニーナのために彫った“Nina Forever”というタトゥーをホリーも入れたりと素人考えの遥か先を行くような行動をとる。しかし、ニーナは「ロブと永遠の恋を誓ったんだから、私は死んでも彼の恋人よ!!」と一歩も譲らない。『イット・フォローズ』同様に、甘い解決などないし、成仏などありえない。まさに厳しい世界なのだ。
そして、話が徐々に進むに連れて、愛し合う度に死んだ元恋人が現れるという逆境の中で、愛する人のことを背負うことができるのか？という恋愛映画的な側面が強くなっていく。一度はニーナの存在を受け入れて付き合い始めたロブとホリーだったが、等々セックスしなくてもニーナが出現するようになる。それによって、2人は愛する人どころか自分のことすら支えることができなくなり、次第にすれ違っていく。『イットフォローズ』の主人公は地獄巡りの末に自分のことを背負ってくれる人を見つけるが、本作ではホロ苦い結末が待っている。
また、ホリーが彼氏の部屋にある前カノの痕跡を全力で消し去ろうとするなど、恋愛あるある的な要素もあって面白かった。
小品ながらも独特な味わいがクセになりそうな作品。こういう映画にぶち当たるのも未体験ゾーンの楽しみのひとつ。『イット・フォローズ』が好きな人は本作も気に入るはず。まだ、本作と『イット・フォローズ』両方観ていない人はセットで観るのも良いかもしれない。
