見終わった後どっと疲れが。映画館に明かりが点いて、何故か自分が「ようやく…帰ってきたよ……」ってなった。
台詞が少なくグロテスクな描写もほとんど無い。やってる事は救出だけで、時間軸も主観キャラも場面ごとに複雑に入り乱れた構図になっているがそれでも106分があっという間に感じるほど面白い。とてつもないパワーと重量を持ちながらもどこか美を感じるノーランの映像。チクタクとなる秒針の音や不協和音で不安と焦りを掻き立て、突然鳴り響く爆音の銃声が見ているこちらの精神を抉り取っていく。曇り空の下、出口の見えない絶望的なダンケルクの地。苦しい状況だったからこそ、彼らを照らす夕陽は神々しく映る。
ダンケルクで英雄になった者、何もせずに生き残った者、命を落とした者、自らを見失った者、それぞれ平等に描かれ、結末を迎えているのがまた良かった。
描くテーマは違えど、色彩、音響、時間軸の組み方、映し方、「アッ、こりゃノーランだ」と分かるのが面白い。映画館で見て良かったぁ。
あと安定のトムハーディが最高です。シブいぜ。
