ちろる

ダンケルクのちろるのレビュー・感想・評価

ダンケルク(2017年製作の映画)
4.0
当たり前ですが、、戦争は嫌いです。ほんと大嫌いです。
そんな私が突然訳も分からないまま戦場に放り込まれました。
後ろ見ても敵に追いかけられて、空からも敵の爆撃、船に乗っても追撃といつ来るかも分からない魚雷の恐怖。
もう絶対絶命です。もう敵を攻撃的することなんてどうでもいいから早く家に帰りたいです。
ただ命あるうちに故郷に辿り着きたいです。今の願いはただそれだけ。あぁ神様助けて、、、。

クリストファー ノーラン監督の新作「ダンケルク」の緊張は簡単に言えばこんな感じです。
私は戦争映画をすごくたくさん観てきたわけでらないけれど、兵士が「戦う」ことではなく「生き抜く」ことをここまでじっくり描く作品は珍しく、戦争という環境のだからこそ渦めく生への執着を圧倒的な映像と音で私達に追体験させてくれます。
いままでのノーラン監督が見せるリアリティのある近未来の世界は私がトリップすればれいいだけだったのに、こんなまじモノのリアリティを見せられたら逃げ場がない。
台詞は少なく、どのシーンでも兵士たちがどこの何ものなのかも深くは描かれないけれど、まさしくこれがリアル。
苦手な血や惨死のシーンはなくてもあまりの緊張の連続に息を吐くことをいつの間にか忘れて過呼吸になりそうだったし、隣にいたビビリの旦那が爆音の度に飛び跳ねて恥ずかしい思いをしました。

クライマックスまで息つく暇もないまま、ノンストップのリアリティのある緊張の連続の中に、民間人たちの自己犠牲も垣間見れる英国人たちの一致団結したダンケルクスピリッツを随所に散りばめてホロリとさせてくる抜かりないノーランクオリティに感心させられて出てくる言葉は「もう、なんてモノ作ってくれるんだノーラン!」
不謹慎ではありますが、ケネス ブラナー、トム ハーディー、ハリー スタイルズ、などなど素敵な役者たちの男気溢れる演技に心踊らされる素敵な時間でもありました。
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