恭介

ダンケルクの恭介のレビュー・感想・評価

ダンケルク(2017年製作の映画)
3.9
今のハリウッドにおいて、唯一と言っていいぐらい、監督の名前で客を呼べる存在になったノーランの初の戦争映画。

一時期のスピルバーグみたいに、ここ何年かは打率10割のヒットメーカーが仕掛ける戦争モノという事で期待値をMAXで鑑賞。ありがたい事に試写会で観れるなんてちょっとノーランに申し訳ないが(笑)

開始早々、いきなり映画の中に引きずり込まれる。のっけから緊迫感で観客の背筋を伸ばしにかかる安定のノーラン節に顔がニヤける(笑)

その後はCGに極力頼らないIMAXな映像とノイジーで緊張感を煽る音の洪水、この2つを武器に、登場人物達が、なんとか生き延びて故郷に帰ってやる!という物語と、1人でも多く救うんだ!という物語が並行して描かれる。

ストーリーは至ってシンプル。ちょっと時系列をいじって話を進めるので前半は若干、戸惑ったが有無を言わさぬ圧倒的な映像力でグイグイ引き込まれる。

ただ!
今までのノーラン映画のように息を飲むストーリーで引っ張る映画とはちょっと趣が違いうように感じたのも事実。
必要最小限のセリフに表れているように、映画の原体験というべき映像力と音響で語られる戦争映画。
そう考えると、最近のノーラン映画では最短上映時間なのも頷ける。
これ以上の上映時間なら、ひょっとしたら評価が変わってたかもしれない。

戦争映画、史実を題材にしているのも初めてなのでノーランの中ではかなりチャレンジというか、新鮮な映画製作だったのではないだろうか。
個人的に本作はノーランの実験的な映画という立ち位置になるかなと。

まだまだ進化する映画作家の彼に今後も目が離せない。次作も非常に楽しみだ。
恭介

恭介