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ダンケルクのkiritoのレビュー・感想・評価

ダンケルク(2017年製作の映画)
3.3
【DEAD OR ALIVE】

友人の結婚式のついでに大阪のエキスポシティに立ち寄り、高さ18m×横幅26mの巨大スクリーンに最新鋭の4Kツインレイザープロジェクターによる映像が使われている次世代IMAXによってダンケルクを体験してきた。

ただ、ただスクリーンがでかい(;ω;)
変な声が出るほど劇場のすごさに驚いた。

正直、昨日公開でもっとタイムラインが埋まるかなと思っていたが、『スパイダーマン』や『ワンダーウーマン』、『ベイビードライバー』ほどの伸びが見えてこない。
というのもおそらくこれが戦争映画であることが一因の一つであると思っている。
観るのに勇気がいるからね…

また、そもそもノーランの作品自体が、高評価が並ぶ一方で、そのくせのつよさから意外と低評価の声も聞こえたりする監督で、自分もノーランの作品は作品によって合う合わないがはっきり分かれている。

だから、このダンケルクも別にノーランだから観に行くつもりでもなく、割とフラットな立場から鑑賞してみた。


さて、すでに書かれている方も大勢いるが、自分もあまり戦争映画というイメージはこの映画から感じられなかった。
というのも、このダンケルクは生き抜く側の視点で描かれているのだが、敵の姿がほぼ見えない点がこれに大きく影響していると思う。

戦争は善ではないし、正義を貫く戦いでもないと自分は考える。
しかし、その上で各国が何かしらの信念をもって戦っていることも事実で、攻める側があまり描かれないというのは、物語を片面的な目線から体験することになる。
そうすると戦争にある対立構造が見えてきにくくなる。そのため、いわゆる戦争映画感がないのかなと。

ただ、それによって見えない敵と戦う点で緊張感と臨場感はこれまでの戦争系映画ではトップレベルだと思う。
特に船に隠れるシーンと見えない場所から撃たれるシーンはなかなかの緊迫感だった。
※個人的にトップは『ヒトラーのわすれもの』。あれは手汗がすごかった。


個人的に4.0を超えてこなかったのはストーリーにある。
そもそもこんな実話があったことも知らなかったのでどれくらいベースにしてるのかわからない。
が、実話ということもあり、ちょっと調べてみないと完璧にこの事件を把握できないのではないかと思う。要は分かりづらい。
また、陸、海、空とぶつぶつ場面を意図的に切り取るので入りかけた集中が途切れてしまいその点も気になった。

加えて、これは作り手の問題では全くないのだが、知らない俳優を多く使ってることもあり主要人物でもイマイチ顔の判別がし難い問題も大きかったと思う。
特に上にあげた船に隠れるシーンも、フランス人をそんな無下に扱うものなのろうか…お互いの立ち位置がどの立場なのかわからない。
そもそもイギリス軍とフランス軍もどっちがどっちかわからないくらいなわけで。

噂通り、会話もほぼ削ぎ落とし、BGMも緊張感を呼ぶ秒針の音とかなり実験的な映画だった。


正直若干期待しすぎた部分はある。
すごい絶賛評が多かったし。
決して悪くはないが、僕の中ではもうひとこえ欲しかった…

2017.9.10
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