まっつん

ダンケルクのまっつんのレビュー・感想・評価

ダンケルク(2017年製作の映画)
2.5
クリストファーノーラン自身初めての戦争映画です。1940年に起きた「ダンケルクの戦い」を描いています。

まず最初に言いたいんですけど、僕はクリストファーノーランの映画って結構嫌いです笑。彼の映画は一言で言うと「真面目ぶって、勿体ぶって、深刻ぶって、かっこつけて、深みのあるフリをしている」様にしか見えないからです。みんな大好き「ダークナイト」なんかその典型です。ダークナイト別にめちゃくちゃ嫌いって訳でも無いんですけど、娯楽で良いものをわざわざ「リアル志向」とかって言って撮ると。悪いけどそんなに真面目ぶってやってる方がアメコミ映画とかは間抜けに見えてしまう訳です。てかそもそもの「アメコミなのにリアルにやる」っていうコンセプト自体にアメコミを見下されている様な気持ちになってカチンと来るわけです。「インターステラー」にしてもそうです。「なぜスペオペをそこまで深刻ぶってやるん?」という疑問は拭えない映画でした。

そしてクリストファーノーラン映画の最大の特徴は「CG使わない&フィルム撮影」で作られているという事。そこへの拘りが非常に強い監督であるということは間違いないわけです。

そして本作ダンケルク....まず「ダンケルクの戦い」というのは独軍によりダンケルクに追い込まれた30万人もの英仏連合軍の兵士を救出するために輸送船、小型船、駆逐艦、民間船を約900隻動員し、上空では独軍、英軍合わせて約300機の戦闘機が飛び交った第二次世界大戦最大の救出作戦です。今考えてもとんでもない規模です。

それに対しノーランの映画作りはCG使わない&フィルム撮影。セットは1から作り、戦闘機も当時のものに似たものを作って実際に飛ばしましょう、船も同様に実際に作ってやりましょう........いや、無理でしょ笑。こんな大規模な作戦を描いた映画。普通に考えれば分かるわけですよ!誰が考えたって!CG使えばいんすよ!しかしノーランの拘りはそれを許さなかったわけです。いつものノーラン的メソッドで撮影した結果.....戦争映画としては致命的なほど画面に映る「物量」が不足した映画になってしまった!

戦争映画というのはその他のジャンル映画と比べても格段に「画面に映すもの、描くもの」が多いジャンルだと言えます。だから戦争映画って尺が長いものが多いんですよ。んで長くても良いんですよ、描くものが多いのだから。その点、本作はノーラン映画史上最短の106分。「106分でまとめた」じゃないんですよ。「106分しか描く事が出来なかった」んですよ。とにかく全編にわたって戦争映画としてはあり得ないくらいスッカスカの絵が多いです。当然ながら人数、船、戦闘機といったものから感じる史実通りの規模感は全く持ってありません。戦闘機に至っては4機くらいしか無いわけですからね笑。故に全編に渡って残念ながら退屈でした....要は彼の映画製作手法の限界が見えてしまったように思います。

また空爆を受けるシーンで人間が五体満足のまま吹っ飛んでいるのもどうかなと思いました。こういうことするからなんかカッコつけてんなって思うんですよ。なんか優等生な映画ばっか作ってんなって感じですね。あと一週間海岸沿いにいるのに誰も髭が伸びないとか、細かい揚げ足取りかもしれないけど大事だろそういうとこ!!!

時系列操作も正直効果的だったとは言い難いと思います。そもそも全体的に退屈な映画を時系列こねくり回したところで面白くなるわけは無いというのは置いといて、やっぱり構成として分かりにくいです。ノーランは「戦争映画ではなくサスペンスとして撮った」(しゃらくせぇ奴だ)と言っていましたがサスペンスとしてもこの構成のおかげで「何で、誰が、どの程度」ヤバイのか分かりにくいです。それによって緊張感が大幅に削がれています。

また音楽もまぁうるせぇなぁって感じで結構今年ワーストレベルで残念な作品だと思いました。