Utopia

ダンケルクのUtopiaのレビュー・感想・評価

ダンケルク(2017年製作の映画)
4.0
冒頭から、主人公らしき人物の身の危険を説明もなく描くところから、物語は始まる。終始、メインとなる登場人物の背景であったり、恐るべき敵の姿も一切見せることなく、映画としてあるべき深みはそこにないと断言できるかもしれない。

戦場から逃げ惑う若い兵士、燃料の残量に憚らずとも敵軍を追い詰める空軍パイロット、心細い民間船で救出に向かう老船長。映画は3つのストーリーを軸に進められて、ダンケルクでの脱出劇を淡々と描き出す。

先述の彼らがどのような状況で戦場に駆り出されているか、従来の戦争映画であればこれでもかといわんばかりにエモーショナルに描かれるところが清いまでに省略されている。結果主役となるのは、職人技の際立つそのダイナミックな撮影と、無慈悲な音響の2点である。まさに戦場の駒に過ぎない兵士たち同様に、映画としてもキャラクターは単なる駒に過ぎない印象だ。

そして観客たちは、そのドライな映画展開と臨場感あふれる戦場描写にまるで、自分自身もダンケルクに放り込まれたかのような、体験をすることになる。