ケンタロー

ダンケルクのケンタローのレビュー・感想・評価

ダンケルク(2017年製作の映画)
4.0
秒針の如く鼓動が時を刻み、兵士たちの絶望と希望を克明に映し出す。戦争ドラマを排した戦場追体験映画。
メッセージ性よりも恐怖を感じるべき作品。
観るなら劇場!絶対に劇場!
と、強く言いたくなるほど、劇場鑑賞ありきなのは否めない…※IMAX にて鑑賞

期待値は高く楽しみではあったが、ノーラン作品に前情報は面白味が半減するぜ!と、あまり下調べもしないで、とにかく、IMAX はハズせないかな♪と劇場へ。。

劇場着いてびっくり! アレ!? なんか上映時間短くね? 史実に基づいた戦争ものでしょ? クリストファー・ノーラン監督作でしょ?
軽く140分オーバーは覚悟してたのに、なんか肩透かしをくらってしまった…。でも、見終えて納得。

106分…。これが限界…。

〜 以下、ネタバレ含むのでご注意 〜

観ればわかるが、オープニングからラストまで、緊張の糸が張りつめっぱなし! 

今作のハンス・ジマーの音作り何!?
緊張感煽りまくりスティな、秒針と鼓動音を彷彿とさせるサウンド。

コチコチ ドッドッドッド コチコチ ドッドッドッド…

こっちの心拍数もガンガン上昇、2000フィートじゃ燃料保たんぞ!ってなるわ…。

この作品は、米・英・仏・蘭の合作で敗戦国となるドイツは、含まれてなくて、どうやら公開もされてないみたいだけど、この辺の諸状況ってどーなんですかね?

日本はこの手の感覚ちょっと特殊だから、理解し難いのだけど、ドイツ自体は「帰ってきたヒトラー」など風刺的な作品も制作公開までされる時代にはなってきてるけど、それでもまだ、あまりにリアリスティックな作品は抵抗があるのだろうか?

でも、本作品ダンケルクには、その敵対する恐怖の対象となるドイツ兵がラストまで、ほぼゼロと言ってよいくらい映されなくてですね、、、

これは二つの効果を生んでるように思う…。

まず、一つ目の効果は、登場人物を連合国の脱出と救出する側のみに絞り、没入感を高める効果。

ここでは、敢えて感情移入とは言わない。 感情移入をするまでには登場人物の背景や人物像は語られないんだもの! 唯一理解出来る感情は、生き延びたい、救い出したい、そして、何よりも死への恐怖だ。

第二の効果は、この恐怖を極限まで高める効果。 ドイツ兵士の姿を映さずに、銃撃や戦闘機のみで迫りくる恐怖を演出している。 この顔の見えない敵の怖さというのは、スピルバーグの「激突!」などに代表される、スリラー映画の一つの手法だ。

そう!ノーラン監督のダンケルクは戦争ドラマではなく、戦場サスペンス・スリラー映画としては特A級の出来で恐怖映画として観るのが吉!