縫い裁つりんこ

ダンケルクの縫い裁つりんこのネタバレレビュー・内容・結末

ダンケルク(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

本物のスピットファイアやメッサーシュミット、ハインケル111が飛んでるのはもう映画とか関係なく感動した。特にラストの着陸シーンはなんともいえなくて、あー木製飛行機のこのアナログ感ええな…って感動。戦後アメリカにことごとく壊された零戦もちょっとくらい飛べる状態で保存されてたら良かったのにな…

戦争映画だけど戦場ドラマに頼らずパトリオティズムを描いているのが好印象だった。むしろドラマ性は淡白で、時計の針の音や独軍が陸から海から迫ってくる重苦しい音楽と映像、急ぎのあまり乗りつけの甘い船と桟橋の間に落ちて圧死する兵士や姿の見えない独軍の攻撃など細かな描写を通して撤退の機会を待つ連合軍の混乱と焦燥が伝わるから臨場感がすごい。観ていて本当に息苦しいし、どうすれば生還できるか安全な映画館で観ているはずなのに考えちゃう。時系列もバラバラな防波堤・空・海それぞれの動きがわかりやすく整理され、イギリスという国、ダンケルク・スピリットという大きな流れに集約されていく流れが2時間程度の映画でこんなにスムーズに理解できるのかと感動したし、感情移入というよりとにかく状況描写だけで引きこまれていく感じがあった。撤退戦だけどそれがマイナスのイメージでなく人間の精神の英雄的な部分、勇気だったり生きてたもん勝ちって所が強調されてるのもじんときた。後、森を戦車で突っ切ってフランスに電撃戦を仕掛けたナチスドイツの機動力はやっぱり化物。