おい

ダンケルクのおいのレビュー・感想・評価

ダンケルク(2017年製作の映画)
3.8
今年大本命の1本。公開2日目にワクワクしながら観に行ったらいきなり戦場に放り込まれて被弾した。撤退戦を描いた作品とはいえ思っていた以上に逃げること、生き抜くことに焦点を当てた作品になっていて驚いた。

いろんなものをそぎ落としている作品だから正直物足りなさも感じたけれど、描かれないからこそのよさも感じた。過剰な演出や説明がなくても自分で感じとる。そこには1つの作品の中には到底収まりきらない物語があることを思い起こさせてくれた。

数年前に劇場で観た『ゼロ・グラビティ』を思い出した。どちらも観るというよりも体験する、体感する作品で、それぞれ宇宙や戦場の息苦しさや絶望感はもちろん、そこから解放されたときの安堵感といったらもう…。鑑賞後には疲れがドッと押し寄せたし、106分という短めの上映時間にも納得。その疲労感も含めて劇場でこそ感じるものがある作品だなぁと思った。

そして兵士たちの追いつめられている状況、帰りたくても帰れない状況の閉塞感とは裏腹に、どこまでも広がる海や空の美しさが印象に残る。どんなに美しい場所でも、人間が戦争を始めたらそこは戦場になってしまうんだなぁ…

本当はもう1度観に行ってから感想を書こうかなとも思っていたけれど、再びダンケルクに戻る気力はもうない…
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