ゆず

ダンケルクのゆずのレビュー・感想・評価

ダンケルク(2017年製作の映画)
4.2
なんだかんだ言ってノーラン映画は毎回面白い。認めよう。
なんだかんだ言って本作も面白いトリックを用意してきているし。
なんだかんだやはり天才なのかクリストファー・ノーラン。

今回のおもしろトリックはなんといっても3つの異なる長さの時間を同時進行で語ったことだろう。
主人公Aによる砂浜での1週間の物語、主人公Bが海峡を渡る1日の物語、そして主人公Cが空を飛ぶ1時間の物語。それら陸海空のシーンが交互に映し出され、まるで同時に起こっているように感じられる。
ダンケルクの撤退作戦に詳しい人が見れば、「民間船が出航するのはまだ先ではないか?」と混乱しそうな感じだが、その歴史をまったく知らなかった私が見ると特に違和感もなく、すんなりとストーリーが入ってきた。それ以前にノーラン作品さすがの臨場感・重厚感だった。

シーンごとに時間が飛ぶのだが、本作はAの時間の長さに合わせてBとCを引き伸ばした印象があって面白い。
Aの1週間の間に起こったある1日の時間Bをゴム紐のようにビヨーンと伸ばしてAの隣に並べて交互に見せているようなそんな感じ。
Cの場合はもっと伸び率が大きい。なにしろ1週間のうちのたった1時間の話を、1週間の話と並行して語るために168倍に引き伸ばしているのだから。
それでもそれぞれの話が交わる一瞬がある。BとCが重なり、AとBが重なり、終盤でAとCが重なったシーンは最高に神懸っていた。
よくもまあこんなわけのわからない時間管理であんな息を呑むようなシーンを作ったよ…。
前の作品で5次元を扱った監督ならではの、時間の概念を超越した戦争映画だったよ…。



9/14 ダンケルク IMAX字幕 @TOHOシネマズ仙台
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