NONAME

ダンケルクのNONAMEのレビュー・感想・評価

ダンケルク(2017年製作の映画)
3.3
やはり映画というポップ・カルチャーたるもの 常に進化し続け その時代に暮らす人々の感覚や価値観に変容をきたさねばならない。それこそが キューブリックやコッポラの時代から変わることのない絶対的な公理。とまでは 言うつもりはないが こういう作品を観ると やはり興奮せずにはいられない。ご存知のとおり これはクリストファー・ノーラン自身 公言しているように「これは戦争映画ではなく サバイバル映画だ」という前提の上 賛否両論で迎えられた本作。
自ら開発した(と言ったら大袈裟か)時間軸の交錯や並行を使って それをパズルのようにミックスし 緊迫感を駆り立てる音響に乗せて演出巧みに仕上げた。なので ここで問われるのは戦争映画やサバイバル映画と言うよりかは 爆撃映画という印象。かくして 大手シネコンという効果を適材適所に活用した105分もの新たな映画作品が出来上がった。そして とにかく音の位相が快感。音楽/音響効果の戦争映画の傑作と言えば スピルバーグの『プライベート・ライアン』 コッポラの『地獄の黙示録』辺り。だが こいつは断トツ。極力ミニマルな映像と演出でトリッピーな効果を狙ったジョージ・ミラーの『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のアイディアに近く アブストラクトな色彩の中でただワンシーンづつが浮かび上がるというもの。そして そこから説明的な演出をカットするというストイックな方法論。まさに『2001年宇宙の旅』期のキューブリックの系譜。わかってんねー。天晴れ ノーラン。
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