勇気ある撤退
遅まきながらクリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』を鑑賞。
ストーリーとしては史実に沿っているため特に目新しいものはない。
が改めて観ると、歴史的に非常に重要な出来事だったと思う。
やはり官民一体となった作戦であったことが、この後の歴史を左右する程の大きな意味を持つ作戦であったとあらためて感じた。
この撤退作戦で国民が一体となり兵力を温存し人的確保に努めたことが、後の反撃に繋がったことを考えると、まさに勇気ある撤退であったと言えるだろう。
さて、本題の作品の感想は…
まず感じたのは圧巻の音響そして音楽。
久しぶりに我が家のシアターシステムが大活躍できた作品であった。
そしてノーラン監督ならではの時間軸を巧みに利用した構成とカメラワークは素晴らしかった。
特に3つの時間軸が要所要所で上手く重なるところは、流石ノーラン監督だと思う。
また、緊張感のあるカメラワークも見事で、船が沈没するシーンの内側からの映像など観ていて息苦しくなってくるほどであった。
残念だったのは、人物描写が淡泊であったこと。
史実に基づいているため仕方ない部分もあるが、主要人物それぞれのバックボーンが見えて来ないためドラマティックさには欠けていたと思う。
そのため、登場人物が死亡したり、脱出が成功したときも、悲しみや感動が薄くなってしまっている。
もう少し長くても良かったので人物描写に時間を割けば、より重厚感のある作品になったのではないだろうか。
ただ、史実を知らしめるという目的で、敢えてエンターテイメント性を省いた可能性もなきにしもあらずか。
全体的には、ノーランらしいと言えばらしいし、らしくないと言えばらしくない作品。
良い作品であったのは間違いないが、クリストファー・ノーラン監督作としては、何とも言えない中途半端な作品であった気がする。
おまけ
この映像をほぼCGを使用せず撮っているのにはビックリ😱