よねっきー

ダンケルクのよねっきーのレビュー・感想・評価

ダンケルク(2017年製作の映画)
4.5
ノーランにしちゃノレない映画だった。クリストファー・ノーレンってか。ハハ‼️

これ多分ね、観た時期が悪かったわ。公開当時に観に行ってりゃ俺だって「こんなリアルな戦争映画は見たことない!!すごい!!」ってはしゃげたと思う。俺が『ダンケルク』のIMAX再上映ではしゃげなかった理由、それは今年、同じ映画館の同じIMAXシアターで『1917』を鑑賞してしまったことにある。

リアリティとか緊張感、感動とかあらゆる面であの映画に勝ててないんすよね。だってこんなん後出しジャンケンだもん。『1917』の製作陣は「絶対ダンケルクには負けねえぞ〜」ってつもりであれ作ってたと思う。ノーランをいじめるな!こいつは頑張ったよ!

『1917』が目で体験する戦争だとしたら、『ダンケルク』は耳で体験する戦争かな。音へのこだわりはやっぱ凄まじい。銃弾が甲板を貫く音、水中でも聞こえる仲間たちの呻き声、つんざく飛行機のエンジン。全部耳に残ってる。軍人がPTSDになんのも分かるわ。これ見てPTSDになる人もいるでしょ。

でも単純に人間って耳で得る情報より目で得る情報の方が数倍多いんで、そりゃワンカットで描き切った『1917』の方が分かりやすいし観てて楽しいし恐ろしいよね、と思う。

ノーランは理詰めで映画を作る人だ。「まだ映画で描かれていないもの」を毎回撮ってくる観察眼とか、それを演出1つ、カット1つで表現しちゃうセンスとか、他に類を見ない才能の塊。上手いかどうかは別にして、めちゃくちゃ賢いと思う。映画が意図と作為で溢れてるんだけど、それが観てて心地良いんだよね。

今回もお得意の時系列操作をやってるんだけど、ちょっと映画の勢いを削いでるんじゃなかろうか。緊張感を煽る展開の連続も、緩急がなくて逆にタルくなってる感じ。意図が裏目に出ちゃった映画のように感じたなあ。「あの子は大丈夫か?」「うん」のシーンとかすげえ良いんだけどさ、そんなんで死ぬなよお前って思っちゃってさ、心から感動できないんすよ。でもこれはダンケルクといわずノーラン映画全般に言えることだな。ノーラン映画の登場人物あるある、軽率に失敗しがち。

史実ベースだからのびのび作れなかったのかもしんないね。テネットは楽しみにしてるよ。また見たことないもの見せてくれよ。現役の巨匠。
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