イチロヲ

団鬼六 蒼いおんなのイチロヲのレビュー・感想・評価

団鬼六 蒼いおんな(1982年製作の映画)
4.0
美しい夫人(志麻いづみ)との逢瀬を重ねているヒモ男(関川慎二)が、夫人の性的嗜好を知り尽くしている近親者たちと遭遇する。マゾヒストの特殊な性生活を綴っている、日活ロマンポルノ。団鬼六原作。

団鬼六の紋切り型から、良い意味で逸脱している作品。主人公夫人は最初からマゾヒストを自覚しているし、ヒモ男がサディストに変容する展開すら登場しない。「愛しているからこそ壊したい」の精神を受け入れるまでの過程を楽しむための作品。

精神科医(益富信孝)と看護婦(山地美貴&藤サトミ)が主導して、手術台の上で淡々と凌辱プレイに勤しむところが面白い。軍服姿のカウンセラー(江崎和代)、ゲイ気質に葛藤する夫人の旦那(草薙良一)など、癖のあるキャラが続々登場する。

アクの強い人間が常時画面の中にいて、それぞれがヘンテコな行動を取るので、絵面の時点で大変面白いことになっている。ラストの発砲が誰に向けられたものなのかを、想像してみるのも、また一興。
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