マツシマ

戦慄病棟のマツシマのレビュー・感想・評価

戦慄病棟(2015年製作の映画)
2.5
かつて精神病院で治療と称した数々の非人道的な行為が行われていた廃病院
謎の火事により10年以上前に閉鎖されていたこの場所を、改築し若者達のための施設にしようとする教会と神父
教会ボランティアのパトリックは工事の手伝い中、友人から「作業のない日にここでパーティーしようぜ」と持ちかけられる
最初は断っていたパトリックだが結局パーティーが始まると大盛り上がり、散々飲んで騒いだ後の朝、残ったメンバーで肝試しで降霊術で遊ぶことに………


チープでバカバカしいパッケージデザインに、原題ぶっちぎり無視の「戦慄病棟」というタイトル
「退院したいぃぃぃ!!」という笑かしにかかってるキャッチコピー
これに期待する方が無理な話


なのに!
意外や意外な掘り出し物系作品

というのも、わざとか下手なだけなのか、少なくとも「これはこうなってこうなるよね」みたいな想像とは違う方向に進むというか、独特の味わいがキチンとある

夜とか暗いシーンはほとんどなく、怪異が起こる速度も途中まではまったり
なんせ最初は廃病院に閉じ込められてすらない!
飲んでラリった後の若者達のゆるいノリがしばらく生きてて、なんて緊張感の低いホラーなんだ……と普通に面白がってしまいました

展開はなんとなくゲーム的というか、(もしかしたら原作がゲームとか?)主人公がどこかに何かを探しに行く→怖いものが追ってくる→隠れてやり過ごす→アイテムをゲット→シナリオが進む
みたいなシークエンスがある
思うにホラーゲームと映画というのは以前より影響を与え合っている気がするのだけど、それは本筋とズレるので置いておく

そんな感じで割と分かりやすく物語が進むものの、そのゲーム感がワクワクするかややつまらなく感じるかは人それぞれで、私は後者寄りだなと思う

ホラーもゴアも「ちょうど良い感じ」で、なんかフラッと入った中華料理屋の中華そばが普通で良かったみたいな、そんな味わいのあるホラーだ

怪異というか敵が「廃病院に漂う怨念、悪霊が乗り移ったパリピ」なのですが、これが基本的にちょっとタフなだけのパリピなので、ホラー映画でも稀に見る弱さなのが良いです
全然勝てるぞ!!!
(しかも犠牲者の半分は事故で死ぬ。悪霊仕事しろよ!!!)

廃病院というロケーションや美術、役者の可愛さや特殊造形、映像の質感など
中身はあんまりチープ感がなくてむしろしっかり目

パッケージのしょーもなさに騙されるともったいないというか、やっぱり掘り出し物でした

「必見!!!」かと言われると別に全くそんなことはない、というのがまた面白いんですが