SPNminaco

ハロルドが笑う その日までのSPNminacoのレビュー・感想・評価

-
オレの人生を奪ったIKEAめ、復讐してやる!とノルウェーを旅立った家具店主ハロルド、同じく人生やさぐれ気味の女子エバ、誘拐したIKEA創業者カンプラードの珍道中ロードムービー。
グローバリズム経済やネオリベラリズムなど社会風刺しつつも、ハロルドの復讐は無意味で不毛な悪足掻きだ。今更もう過去へは戻れない。サーブに乗る昔気質のハロルドも、元新体操選手だったエバのママも、終わってしまったことを受け入れられず、せめてもの抵抗をしてみても虚しいだけ。世の中は何でも栄枯盛衰、新しい物に取って替わるのだ。だからこそIKEAの家具は長く保たないように出来ている(のかも)。
完全に悪者として敵視されるIKEAだが、所詮その時代も不変ではないとしみじみシニカルな視点に着地。結局ハロルドもカンプラードも自分の築いた店で同じ現実を味わう。ようやくそれを受け入れたハロルドは、ダメ息子でも今の世代に目を向け手を差し伸べる。寄る辺なく孤独なのは古い世代だけではないのだから。
北欧映画といえば殺伐と憂鬱で寒々しい人間模様だけど、要所要所で安易な展開をバッサリ省略した編集が軽く、ナンセンスなユーモアに振り切ってる。わかりやすく北欧を代表するIKEAがあるからこそ成立する訳で、そこはIKEAのおかげかも。プチプチはあったかいよねー。
SPNminaco

SPNminaco