若者たちのディスコミュニケーションをありありと描いた作品。
ヒロインが聴覚障害をもっているということから、そこは本質ではないと思う。
この物語の本質は「伝える」ということだと思う。
物語的に西宮さんを聴覚障害という「伝える」ということが困難な存在として起き、それを差別し、排他していく。(虐めとして残酷に画面を映し出される)
主人公はその虐めの首謀者になっていくが、ある場面から一転、見せしめとして虐めの対象にもなっていく。
それから時間は流れて・・・
そこから主人公の「伝える」ということの物語が始まっていく。
そこからは脇を固めるキャラクター達が加害者として、被害者として、いやそんなに簡単に二分割に出来ない関係として「伝えあって」いく。
各キャラクターの「こえ」そのものが絶対的な善でも悪でもない不思議な関係の中で、コミュニケーションが続いていく。
特に植野という一見、嫌で仕方がないキャラクターの露悪的なもの言いや芯をついた発言はなんとも言えない。(これがあるから単純な感動ストーリーにならない)
ラストどうなるかは劇場で見て欲しいが、単に聴覚障害の感動物語とは思わないでほしい。(重要な要素ではあるが、それが全てではない)
ただ、原作がコミックスで7巻分を129分にする為に、かなりギュウギュウに詰め込んであるので、そこはどうしようもないがマイナスポイントだった。