おとうちゃん

映画 聲の形のおとうちゃんのレビュー・感想・評価

映画 聲の形(2016年製作の映画)
4.2
こんな映画に出逢わなきゃよかった!

人は異質なものを忌み嫌う。

耳が聞こえないため聲(こえ)が不自由な転校生 西宮硝子はクラスから酷いイジメを受ける。
主犯格の石田将也は、クラスから「イジメたのは翔也だけ」と一人罪を着せられ彼もまたクラスからイジメられる立場になる。

中心になって西宮をイジメている実行犯!
西宮が聴こえないことをイイことに、表立って悪口をいう確信犯!
自分は手を汚さず、それを見ながら楽しそうに笑っている愉快犯!

クラスぐるみでイジメていたのに一人のせいにして、自分達は被害者気分...このクラスは自分中心の犯罪者集団!

少しでも相手の立場になって考えることが出来るなら、自分たちが やっていることの愚かさが分かりそうなものを…

犯した罪は、そっくりそのまま自分に返る。
自分がイジメられる立場にならないと、イジメがどれだけその人の心を傷付け人格そのものを壊していくか、そんなことも分からない...コイツら全員おもいやりが欠如した人格障害者だ!

クラスぐるみのイジメより、自分の存在が人を不幸にしている事の方が辛い...ピュアで壊れやすい硝子(ガラス)の心を持つ西宮硝子。

悪から見たらピュアな善ほどウザいものはない!

手を差し伸べようとする者に「点数稼ぎ」と意図的に悪意を持って孤立させ、徹底的にピュアな善を排除しようとしている、そんな居たたまれないイジメの描写が続く前半。

翔也の自殺未遂から始まる この映画。
自殺未遂の理由が何となく理解できた後半から展開がガラッと変わる。

実際の舞台は岐阜県の大垣市。
山、川、池、滝、橋、緑...自然が綺麗で有名な場所のようだ。
そんな美しい背景、そして花火が、あまりに濃すぎるキャラ 一人ひとりの荒んだ心を浄化していく。

今の時代、こういうデリケートなメッセージを伝えるのは、実写よりアニメが良いのかもしれない。

この映画...もう一度逢いたい。