オルキリア元ちきーた

映画 聲の形のオルキリア元ちきーたのレビュー・感想・評価

映画 聲の形(2016年製作の映画)
4.0
周りの人達がこの原作をとても褒めていて
色々と楽しそうに語ったり聖地巡りしたり
そんな様子を眺めて「楽しそうだな」と思うよりも
そんな人達に対して
石田の様に心の中で×を付けて遮断してしまう自分がいた。

そのくらいたまたま地上波で見なかったらずっと避けていたであろう作品。

そんな反応をしてしまうにも理由がある。

なぜそんな風になってしまったのか?

映画を見てはっきりとわかった。

この登場人物は私なのだ。
まるで自分を映されているようだ。
石田だったり
植野だったり
川井だったり
小学校の担任の先生だったり
見苦しくもがいて
自分に言い訳して
周りにレッテルを貼りつけ
自意識過剰で
表面だけ取り繕って生きていて
そんな自分に嫌気がさしているのに
それを周りのせいにして
自己正当化、自己肯定するために
周りを否定しないと居られない

醜い自分の伏せてる部分を
ぶちまけられているから
見たくないし
これを「素晴らしい」と評価できる人って
いわゆる「ちゃんと自分に向き合えている人」だから
羨ましいのだ。だから×なのだ。

そして圧倒的な違いは
これは物語だから
ちゃんと起承転結して
クライマックスがあって
エピローグがあって終わる。

でも現実の「私」は
そんな都合のいい展開など無い。
だから余計に惨めになるし辛いのだ。
その辛さは
感動的な物語なんかじゃなく
だらだらと続いているだけなのだ。

まだカタルシスのレベルにさえ到達していない自分を突きつけられる。

まだ当分はこの物語を直視出来ない。

話の途中の石田や植野を演じ続けなければならない。