アボカド

映画 聲の形のアボカドのレビュー・感想・評価

映画 聲の形(2016年製作の映画)
4.5
決して楽しい映画ではないし見ていて苦痛に感じるシーンやセリフばかり
でもぜひ最後まで見て欲しいなぁと思う
いじめや聴覚障害や不登校、恋愛や友情
たくさんのテーマがすべて共存していて全く邪魔になってない
たくさんでてくる登場人物も一人一人丁寧に描かれている
でもあちこち話しが飛んでこの子の話いらなかったんじゃない?なんてことは絶対なくて
ここまで丁寧な作りの映画は初めて見たかも
短い時間の中でとてもキレイにまとまっている
映画の中で何を表現したいのかがわかりやすい
ストーリーやキャラクターっていうよりもそういう構成だったり配分だったりが素晴らしかったのでこの点数にした

聴覚障害の話なのだと思っていたけど、主人公の心の葛藤がメイン
聴覚障害はコミュニケーションの障害だと言われているので、聴覚障害と健常者の関係者だけではなくてすべての人のコミュニケーションにテーマを広げている感じ
そこが一般的な障害者を扱った映画と違うところで、だから健常者でも「障害のある人の話」という他人事ではなく見れる
(本当は健常者って言葉好きじゃないんだけど)
人と人とのコミュニケーションを描いた作品の中に聴覚障害のある登場人物がでてきただけ、という自然さがある
聴覚障害のある西宮を中心に話は進むけど、登場人物は全員他人とのコミュニケーションを通して自分と向き合っている感じ

すごくリアルな人間関係だからなおさら見ていて不快な気分になったりする
感情をはっきり表現する植野は映画の中でわかりやすい悪者になるけど、どこか自分自身に苛立っているように見えるし、川井は他人に責められると話をそらして逆に相手を責め始める
こんな人いるなぁってキャラクターばかりで単純に「こういう人嫌い、イライラする」って捉え方では浅すぎる

今の時代の現実が詰まった映画かな
障害者、いじめ、と一つ一つを別の問題として捉えて人に優しくしなければならないという短絡的な発想の教育を捨てて
他人とのコミュニケーションを通して自分を知っていくようなそういう考え方を子どもたちに伝えることができたらな
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