思い出した。
あれは専門学校に通う説明会の日で、親と来てる子が居て、おい母親同伴かよと思ってたらどうやら耳が聞こえない子らしく最初だけ母親と来たみたいだった。
しばらくしてちょっと仲良くなったから手話の本を2､3冊買って10個くらい単語覚えてちょびっと喜んでもらえて、でもそれじゃ会話にならなくて筆談に戻って。
自分は1年で学校を辞めたから、彼がその後どうなったか知らない。
今思えば、あの手話の本はただの興味本位か自己満足か、偽善と言われれば否定できない気もする。
ただ、授業初日の昼休み、一人ポツンと座っていた彼に
「一緒にお昼食べに行く？」
とノートに書いて見せた時の彼の表情だけは今でも忘れらんない。
