砂米

映画 聲の形の砂米のネタバレレビュー・内容・結末

映画 聲の形(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

リズと青い鳥に感動したので脚本を書いた吉田玲子作品をもっと観たいと思い鑑賞。
いじめ描写がどうしても心が重くて観れずにいたので、重い腰が上げるきっかけをもらえて感謝です。

女の子たちが多かったりワイワイしてるアニメって、やっぱり男性層に人気だと思うんですよ。(反対も然り)だから女の子は理想化されてるイメージだったのですがリズも聲の形もリアルなんです。そこを支持したいですし、信頼できる。

リズでも思ったのですが可愛い顔のキャラ作画やキラキラして綺麗な背景作画に反して、とても生々しい感情描写、リアルなテーマです。
観終わった後に各人物それぞれの気持ちや、これからのことを考えると眠れませんでした。

誰もが憤りを感じたであろう優等生キャラの川井さんや小学校の担任教諭ですが、私にもこの人達の要素は持っているのだろうと感じます。
どんな立場でも年齢でも、自分自身を守りたいのは一緒。

花火大会を途中で抜けて、飛び降りようとした硝子ちゃん。
もしかしたら浴衣姿について石田くんから何の言葉も貰えなかったことが引き金だったのではないかと思います。
可愛いね。似合ってるよ。
そんな褒め言葉じゃなくても、いつもの自分とはなにか違うことに気付いて欲しかったんじゃないかな。
何の言葉も無かったというのは、自分に関心が無いのだろう。
石田くんは本当に自分といたくて一緒にいるのではない。
自分のせいで彼は過去から逃れられないのだと苦しい、虚しい、いろんなことが綯い交ぜになって衝動に駆られてフラッと姿を消した気がします。原作未読なので想像ですが。

一緒にいてこんな辛い目に遭わないといけないなら、いっそ離れた方がいいんじゃないかと思ってしまいましたが、それは私自身が辛いもの・嫌なものを見たくないからという勝手なものであり自分の弱さだと痛感します。
お互いに前に進むために一緒にいることを選択した彼らの苦しみや葛藤は計り知れない。
でも、少しでも分かろうとすることが大事なのだろうと思う。
理解できなくても否定するのだけは絶対にやっちゃいけない。

自分が理解できないものを否定するのが間違いの始まりなんだと学んだ。
未知で理解できない=怖いもの、嫌悪するものと感情を置き換えてしまうことを変えたい。
お互いに歩み寄ることを怖がってはいけない。
偽善、本当の優しさとは。
それは誰にも決めつけられないものだと感じた。

ラストの、周りの音を遮断してた石田くんが、受け入れて雑音が聞こえて泣いたシーンではじめて『聲の形』というタイトルの本当の意味が分かって泣いた。良い演出をするんじゃあないよ…とヴッとなる。この演出は秀逸で天才だと思った。
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