このレビューはネタバレを含みます
金ロー録画。
賛否両論映画で、かなりイジメトラウマをぐりぐりとえぐってくる(私自身はトラウマはないが、ある人は最後まで見れないレベル)ある意味ホラーより恐ろしい映画。見ている間も見た後もかなり精神を消耗するし、いろんな意味で考えさせられる。絵は美しいし、キャラ絵も可愛いが、かなりエグい映画だなというのが正直な感想。
聾唖者のヒロインが物語の中心ではあるが、主人公や家族、クラスメイト、それぞれに悩みや課題があり、どの視点に立っても深く考えさせられるストーリー。それぞれのキャラに役割があり、しっかりと「こういう人っているよね」という生命感を感じさせるキャラ造形も見事。表裏のない「いい人」というのがいなくて、皆どこか嫌な部分があるのも人間味がある。
さすが京アニと呼べる背景の美しさ、日常描写の細かさは感嘆する。
もちろん、手話の描写も丁寧にされているし、部屋やノートからメインストーリーには描かれてないキャラ設定も読み込めるようにかなり細かく描かれている。
特に好きだったのが、主人公とヒロインの最初の再会シーン。ヒロインの複雑な表情が、結構長めのカットで描かれていて、その複雑な心境をうまく表現している。
このような緻密な描写があってこそ、このストーリーに深みと現実味が加わり、さらに見ている人のトラウマをえぐっていく。本当に怖いよ、この映画。
一度見ただけでは、ストーリーのエグさにひっぱられて、なかなか音楽の良さとか、それぞれの視点からの考察が出来てないので、また改めてメンタリティの良いときに見直したい。本当に見るのに体力のいる作品。
胸糞作品好きだけど、この作品は好きといっていいのかわからない。でも、衝撃的で、かなり攻めた映画だし、ここまで「嫌われる覚悟」を持って作られてる映画なのはすごいと思う。
