まこぞう

ソング・フォー・イェテボリのまこぞうのレビュー・感想・評価

1.2
何もかもが軽く描かれているせいか、終始イライラさせられて、素直な気持ちで「この映画が面白いと感じる人なんているのかな」とまで思ってしまった。

何が気にくわないって、ある種の統合失調症と思われる主人公がギターをポロロン弾きながらちょっと歌っただけで、あたかも音楽の才能があるかのように描かれているところ。偉そうにNICOについて話すヤリマンまで感心しているし…。

とにかく良いも悪いもない、言い換えれば毒にも薬にもならないような曲で観客をミスリードしようとするな。
最近の音楽映画は、過剰に音楽を神聖なモノ扱いをして、こんな風に描くのが多過ぎる!
音楽なんて分からないだろうと観客をバカにしているのか、それとも音楽自体をバカにしているのか。

こういう映画に感心する観客は、へんな宗教にうまいことを言われてツボとかを買わされるタイプだと思っているので、個人的に「霊感商法映画」と呼んでいると書いたら怒る人がいるかな。

もっと言えば『はじまりのうた』や『セッション』もその類の音楽映画。この手の作品がヒットする世の中が恐ろしくらいに思っています。これらは実体がないものを観客をリードして感じさせ信じこませるカルト宗教映画と同じだと思っているので。

あと出演している役者にこれほど魅力を感じないことも珍しい。そう考えるとホント最低の映画だな…。

本作で数少ない良いシーンは、ブルジョワの豚オヤジが「黒人音楽はやるな、ボサノバを演れ!」と怒鳴るところと、主人公に突き飛ばされてうっかり死にそうになった親友が何かに一瞬だけ目覚めてしまったようになるところ。
ボサノバの立ち位置は今や世界中同じなんだなと苦笑しました。

*ノーザンライツ
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