感じたのは"キリスト教社会"に対する恐怖。
17世紀ニューイングランド、とある敬虔なキリスト教価値観を持つ家族は父ウィリアムの異端扱いにより村を追い出され荒れた森の傍で暮らすことに…
ロバートエガース監督作品。"キリスト教"と"魔女伝説"を扱ったホラー映画。今作には閉塞した村外れな世界観とキリスト教価値観の恐怖を感じてしまう稀有な印象を受けました。まず17世紀ニューイングランドという設定からして面白く、まだイギリス人がアメリカに来て間もなく社会も形成されていない情勢で村八分をくらうとどうなってしまうのか…敬虔なキリスト教徒の彼らは"神に縋る"しかないのだ。当時の人々の考え方の根底にはキリスト教が根付き過ぎている…それが一番恐ろしい。
話の展開的には家族が1人ずつ消えたり怪我を負い更には幻覚まで見え、状況に慄き自我を失っていく。これは監督の次作"ライトハウス"でも見られる展開でやはり監督の描きたいものはそこにあるのだろう。
ラストは奇妙さと画角の暗さもあって美しく、人間が関わってはいけない存在の恐ろしさを表しているよう…
ロバートエガース監督はこれから期待大の監督になっていきそうです。
