福福吉吉

ウィッチの福福吉吉のレビュー・感想・評価

ウィッチ(2015年製作の映画)
4.0
17世紀のニューイングランド、父ウィリアム(ラルフ・アイネソン)とその家族はより敬虔に生きるために町を離れて森のそばの土地に移り住む。長女のトマシン(アニャ・テイラー=ジョイ)が面倒を見ていた赤ん坊のサムが突然、居なくなり、それ以降、家族関係にゆがみが生じ始める。次第に家族の中でトマシンが魔女なのではないかという疑われ始める。

信仰心の強い家族が赤ちゃんの失踪を契機にどんどん関係が歪んでいき、やがて信仰心が揺るぎ、疑心暗鬼に陥っていくストーリーで、見事なくらい運が悪く取り返しのつかない事態にまで進んでいく流れは陰鬱でありながら興味の絶えない面白さがありました。

赤ん坊のサムを失って以来、母のキャサリン(ケイト・ディッキー)の精神状態が不安定になっていて、やたらと長女のトマシンに当たるようになっていきます。これが観ていてとてもつらい。それでいてトマシンばかりこき使われて、幼い双子のマーシーとジョナスの面倒まで見ることになり、トマシンも疲れ切ってしまいます。観ていてどうしてもトマシンに感情移入しました。そしてこの双子が非常に憎たらしい。まあ、子供の戯言なんですが、追い詰められたトマシンの琴線に触れまくっていて苦笑いしました。本当にムカつく。

そこから不幸のベルトコンベヤーがフル回転して、悪いことがどんどん重なっていき、家族が見事に崩壊していく流れは緊迫感があって信じてもらえない怖さが非常に出ていて良かったです。

そして、何故かヤギやウサギが非常に嫌な雰囲気を醸し出している。これは観ないと分からないと思いますが、ヤギやウサギが映るととても不安な気分に駆られるようになります。

ラストはびっくりしました。あれは現実だったんだろうか。

観終って爽快な気分には一切なれませんが、満足感の高いホラー作品としてとても良かったと思います。

鑑賞日:2023年5月8日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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