「スプリット」で新しい輝きを放っていたアーニャなんとかかんとかちゃん。
彼女の陰りを美しく映し出すダークファンタジーを愛でるつもりで劇場へ。
今年最も禍々しく不快な問題作。
強く信仰する者に福音来たるとは限らない。
些細な疑念や嘘や迷いが、簡単に人間関係を崩壊させ、祈れど祈れど、綻びは元には戻らない。
禍福は糾える縄の如し、とはならず戸惑いが増幅し続けた。
永遠に春が訪れないかのような陰鬱な世界。
諦念の熱量とでも言おうか、救済の無い世界観に確固とした意志が感じられ、観る者の集中力が切れる事は無い。
全てを捨て去り、対岸に渡る者には新たな世界が待ってると言うのか。
絶望の淵にある者には、光りが差すとでも言うのか。
ところどころ失笑と悪寒が湧き上がったのは、何らかの感情を激しく揺さぶられたとして、酷評は避けたい。
「コクソン」とセットで観れば体調崩すのは避けられない。
2017劇場鑑賞73本目