非常に残酷な物語。
1630年_
英国イングランドから米国ニューイングランドに移り住んだケンプ一家。
ウイルとキャサリン夫妻と5人の子供たち、長女トマシン、長男ケイレブ、幼い双子のマーシーとジョナス、そして乳児のサム。
新訳聖書への見解の相違でコミュニティから孤立し、村から追放されることとなる。
森の近くで貧しい暮らしを余儀なくされることとなった一家だが、敬虔なクリスチャンとして倹しく暮らしていた。
そんなある日、トマシンがサムの子守りをしていると、ほんの一瞬目を離した隙にサムが姿を消してしまう。
ウイルやケイレブがいくら探してもサムは見つからない。
加えて日々の糧を賄う狩りもままならず、空腹の一家は次第に精神的にも追い詰められて行く。
ぎりぎりの生活を強いられる家族に次第に不協和音が流れ、そして一家に奇怪な現象が起き始める...。
終始不穏な空気が漂う物語だった。
口ばかりで甲斐性なしの父がこの悲劇の元凶だろう。
母にしても、美しく成長してゆく娘に対し、謂れもない嫉妬心をぶつけるのみ。
そして双子は...本当にイラつく。
物語のラスト、トマシンがそうなるのもなるべくしてなったと頷ける。
物語の核心にある森に棲むもの。
おそらく「それら」の深謀遠慮でトマシンが仲間に引き込まれたのだろう、とは思う。
人が迷信深く無知であった時代に起きた事件。
非常に残酷な物語であった。
ハナマル!
2019/07/22