映画おじいさん

ハリー叔父さんの悪夢の映画おじいさんのレビュー・感想・評価

ハリー叔父さんの悪夢(1945年製作の映画)
-
初めての時は衝撃のラストにのけぞったけど、二度目にはラストが余計に感じた。あそこまで衝撃的なのにイマイチ語り継がれていないのも何となく分かる。

映画会社の意向はもちろん、当時は公開前の試写の反応でがんがん内容を変えていたというから本作も恐らく後から無理くり付け加えたラストなのでは。なかったら壊れた魂がぶつかり合うような最高の映画だったのに…。

(以下ネタバレ)


心の病にふせる妹レティのブラコンぶりが本作の軸で、兄の破談に喜ぶ瞬間の表情の素晴らしさはもちろん、その大好きな兄に殺されかけたと分かってからの力強い表情と肥大したハートも最高。

天体観測が趣味の兄が妹殺しを決意する決め手が「広い宇宙からしてみれば、一人の人間の善悪なんてちっぽけで取るに足らないもの」というのが凄い。思わずナルホド!と思ってしまった。

「俺が死んだらピクルスのように骨をアルコール漬けにしてくれ〜♫」みたいな悪趣味な歌も最高。その時、嬉々として毒薬の効き目を話す薬屋の酒呑みで下品そうなオヤジも最高。

使用人なのに先代から長く勤めているせいで家族より上の立場になってしまったおばさんの存在、そして何より面白いのがそのおばさんの彼氏(?)の牛乳屋ヒューゴおじさんは何度も話しには出てくるのにスクリーンには一度も姿を現さないこと。裁判で重要な証言をしたらしいのに出てこない。こういうアメリカンなユーモアは超最高!