Jeffrey

エデン、その後のJeffreyのレビュー・感想・評価

エデン、その後(1970年製作の映画)
3.5
‪「エデン、その後」‬

‪冒頭、カフェ・エデンに居座るパリの大学生達。

突如、姿を現した謎の男、麻薬らしき粉末、摂取、退廃的、遊戯、儀式、死や性愛、幻覚。色彩の平衡、鍵、血。今、ヴァイオレットが誘拐され拷問される…

本作はアラン・ロブ=グリエの初カラー映画で、この度、初見したが素晴らしい映像美だ。冒頭からかなり引き込まれる演出がある。言葉で説明する意味不明な単語の数々、それを不可解な映像で観客に見せる。

赤、青を基調にした風変わりな部屋の小道具、長方形の透明なガラスやカラーガラス、鏡やポスターが奇抜で、ファッションとも合う。

そこで1人の女が捕まり裸にさせられる…それを傍観する若者たち。突然男が苦しみ倒れ込んだり、女性の気を逸らし男性がドリンクに薬を入れたり、不意に瓶が落ち割れる(グリエ映画には数々の瓶、グラスが割れる演出がある)演出に若者の人を埋葬する独特な儀式やルール法が垣間見れてくる。

口から血を滴る女、拷問道具に突き刺さる女、床一面の真っ赤な血、うろたえる金髪少女美女。

さて、物語は1枚の絵はがきをめぐる誘拐殺人が起こる物語で、自分の分身が現れたり毒薬で人を殺したり海辺での対決などかなりごちゃごちゃした内容…簡単には説明できないが学生たちの殺るか殺られるか的な映画だ。

画面の作りがゴダールにそっくりだ。

割れたガラスを素手で拾わせるシーンで女性の体が徐々に地にまみれていく場面を見て確か昔であるがとあるインタビュアーにあなたの映画には大量に血が出ますねと質問した時に"いえ、それはペンキです"と答えたインタビュー思い出した。

この映画結構憂鬱で、厭世的な気分になる…。

だが部分的には蠱惑性に満ちてる。

例えば砂漠のシーンや白い建物の外観のデザイン性やチュニジアでの映画上映の場面などまるで別の宇宙を見ているような世界観がある。

カット割のオンパレードの時の映像はなんだかアーティストのプロモーションビデオを見ているかのようだ。またロケ地の南部ジェルバス島のすごく映画的で前衛的な作品を撮るにはうってつけな場所選びだ。

アートフィルムとしては傑作かもしれない。

ホワイトベース拷問部屋や拷問器具や静寂の中に不気味な音を取り入れ、わけのわからない演出を淡々としていくこの感じ…不可解で華美、深化する。ナツメヤシが生える夏の最後を彷仏とさせる真っ白な光と砂漠や暗闇に輝く焚火の前で妖艶なダンスをする主演女優のジュールダン等を収めたフレームは素晴らしいの一言だ。

とりわけ伝統的な白と青以外の色が一切排除された土地は驚くべき幻想的な演出を作り出す。

海や空の青の美しさ、まっ白な砂漠の光輝さ…裸体の女が螺旋階段を降りる場面での三度反復される演出それらは絵画を見ているかのようだ。

だがこの映画は主題があまりにも多すぎて少し難解でもある。

余談だが監督自体はカラーフィルムを作ることを考えていなかったらしいが撮影現場のチュニジアのあまりの美しさにイーストマンカラーで撮ることを決意したらしい。‬

‪まだ未見の方はアマプラへ配信されてるんで観ては…。‬
Jeffrey

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