TAK44マグナム

ラバランチュラ 全員出動!のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

3.6
🔥を噴く巨大🕷出現!


ロサンゼルスで火山が噴火!
すると、何故か溶岩を吐き出してあらゆるものを燃やし尽くす人間大のクモ群団がワラワラと地下から現れた!
「燃える昆虫軍団」の発火ゴキブリよりも厄介な、機動力も知能も高いクモたちの襲撃にロスの街は壊滅状態に!
この未曾有の危機から街を、そして家族を救うために、かつてのアクション映画スター、コルトン・ウェストが立ち上がるのであった!


大ヒットコメディ映画の「ポリスアカデミー」シリーズのキャストが、スティーブ・グッテンバーグ以下大集合をはたした本作。
どうしてポリアカなのか分かりませんが、個人的には一作目と二作目ぐらいしか観たことがないので、そこまで思い入れもなく響きませんでした。
ちなみに副題の「全員出動!」は、「ポリスアカデミー」の二作目からとっているのでしょう。


まったく往年のアクションスターには見えないスティーブ・グッテンバーグではありますが、いまではうだつの上がらないB級スターという役柄を大変丁寧に演じていると思いました。
クライマックスでは、なんと真っ赤っかなスーツを着用して変身ヒーローになり、超巨大な女王グモ「ママランチュラ」と戦うのですから驚き桃の木です。
しかしママランチュラって、うまいことネーミングした気になってますけれど、どうなんだ(苦笑)

こういったB級モンスター映画のベーシックな範疇を超えてはいないものの、ふつうに面白いです。
当たりと言っても差し支えないでしょう。
序盤のノリの軽さから、もっとコメディ寄りなのかと思いきや、そうでもなく意外と真面目なパニックホラーテイスト。
赤ちゃんクモが口から出てきたり、溶岩を顔にうけたり、適度なゴアっぽさもちゃんとあるので好感がもてます。
ただ、もしかしたら溶岩を噴くという設定にしたのは、燃やしてしまえば余計な特殊メイクなど無しで割とグロく撮れるから、なのかな?などと勘繰ってみたり。
大半は一瞬で消し炭にされて、クモがのしかかってくるだけのお手軽仕様でしたしね。


さて、こういった系統の生命線ともいえるCGですが、クモ関係は低予算を感じさせないクオリティに仕上がっていますね。
カットによってはチープですが、実在感もちゃんとあります。
反面、爆発などのエフェクト関係はショボい!
観光バスの爆発なんてヤバかったな。あそこはマーク・ポロニアが担当した部分と言っても信じちゃいそう(苦笑)
クモが仰向けで死んでいるのもショボショボ。
最初の火山噴火は割とリアルって言えばリアルだったんですがね。
満遍なくは全力を注げないから要所要所だけ頑張った、というのは正解だと思います。
とりあえずクモ関連は悪くなかったので合格でしょうかね。

コルトン一家をはじめ、意地の悪いキャラクターも登場せず、あまりストレスを感じないで気軽に鑑賞できるのも良い点。
キャラも適度にたっていて、奥さんのオリビアが自宅で戦う場面では、手裏剣まで持ち出して笑えました。
やたらとコルトンを神格化するファンとか、いきなりママンチュラを殺せば他も死ぬとか教えてくれる(為だけに出てきた)博士も良かったな。
なんであの博士、そんなに詳しかったんだろうか。

あ、あと特別ゲストでワンカットだけ「シャークネード」シリーズの主人公フィンが顔を出すサービスがあります。
コルトンにクモ退治を手伝ってくれと頼まれると、「悪いけどサメを退治しないと」とギャグを言って去ってゆくだけ。
どうせなら、ポンコツパニック映画を集めたクロスオーバー大作を作ってほしいぞ!


ハリウッドが舞台になっているのもあって、決戦前にコルトンがぶちかます演説は、映画好きならけっこう刺さるかもしれません。
映画では裏方である特殊効果スタッフたちを盛り上げる「忘れられたスター」という図式。
映画人がハリウッドという自分たちの街を守るために立ち上がるのを、ギャグを交えて熱く説く、実に感動的な良い場面です。
定番の、横一列に武器を持って歩いてくるスローモーションも、ベタだからこその高揚感があるような無いような。
あったら良いな。


そんなに遠くない場所で火山が噴火して地震が起きているにもかかわらず、まったく変わった様子がない街の中心部など、さすがにそれは呑気過ぎるだろうと思ったりもしましたが、概ね演出も演技もバカを控えているので、自分を普通の感性の持ち主だと自負している方がアサイラム製のやっつけパニック映画を観るのなら、本作はうってつけの作品だといえるでしょう。
アサイラムビギナーよ、ようこそ!的な、初心者に優しい登竜門、それが「ラ☆バンバ」!
じゃなかった、「ラバランチュラ」なのです!
さぁ、レッドロケット🚀の活躍を君も目撃だ👀!


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