せーじ

ぼくは明日、昨日のきみとデートするのせーじのレビュー・感想・評価

1.9
304本目。何を観ようかな~と思っていた矢先、ひょんなことからフォロワーのmarrikuriさんからMarkの依頼(?)を受けて、観ることにした作品。
なお、原作は冒頭しか読んでおりません。




…白っ!
白過ぎん!?この映画…となりました。
ちょっと色々とおかしいよな、ヘンだよなと思ってしまいましたね。
(ということで、ここから先は盛大に叩くことになりますが、ご了承ください)

■白過ぎる画面
個人的に一番強く感じたヘンな部分は、「画面が白いところ」でした。
何を言っているのか意味が分からないと思いますが、全編に渡って画面が白過ぎて変だったのです。具体的に言うと、太陽光を過度に取り入れて、明るくハイキーな画面作りをしていたのですね。陽光に包まれた、暖かい幻想的な雰囲気を作りたかったのか知らないですけど、おかげで画面が真っ白になるシーンが頻出していて、それが明らかに映画にとって悪影響を及ぼしていたように感じてしまいました。だって、日中撮っているシーンはいつでもどこでも白いんですもん。鑑賞中何度も「白っ!」って呟いてしまって、ストーリーに全く集中できなかったです。
また、主人公の家や学校の教室に差し込む陽光も強烈でした。もちろん光が差し込んでいる部分は『佐々木、イン、マイマイン』の佐々木宅で主人公が窓からの陽光を浴びながらタバコを吸っていた時に舞っていたような埃なんて、全く飛んでいません。それが逆に不自然で、生活感の無さが悪目立ちしているように感じられましたね。
さらに、この作品は時系列として2月中旬から3月中旬の一か月間を舞台にしているのですが、その間ずっと昼も夜も晴れっぱなしだというのも不自然だなと思いました。その時期の京都って東京よりも寒くて、頻繁に雪が降ったりすることもあるんですけどね… それに京都で桜が咲くのは4月頃なんだけどなぁってうわなにをするくぁwせdrftgyふじこlp()

■プロットは面白いのに…
この作品、大元となるプロットはとても面白い話だと思います。そして、そんなプロットをロマンティックで切ないと感じて感動する人たちが、一定数いらっしゃるというのも理解できます。そこは否定しません。自分も白さに気を取られていなかったら、感情移入をしていたのかもしれないですし。
ただですね、そのプロットの「切なさ」や「悲しさ」を、本作ではあまりにも強調し過ぎなのではないかなと思いました。そのくせ、そのプロットについて回ってしまう「矛盾点」だったり「設定の弱さ」は、きちんと処理をしていないのですよね。「ヒロインは一体どうやって主人公に逢いに来ているのか」とか、「数年後主人公はどうやってヒロインと逢ったのか」とか、そういった作品の根幹に関わるような疑問点を「こまけぇこたあいいんだよ」とでも言わんばかりに押し切って、なあなあなままにしているのです。これは明らかに作り手の怠慢だと思います。

■方言について
本作ではすべての登場人物が標準語を喋り、京都という街が舞台なのにも関わらず、方言がオミットされています。個人的にはそのこと自体は悪いとは思わないです。京都が舞台のコンテンツでも、例えばテレ朝系の京都を舞台にしたドラマシリーズ(科捜研の女とか京都地検の女とか)は基本的に全部そういう演出ですし、アニメですが湯浅政明監督の『夜は短し恋せよ乙女』とかもそうですよね。それらのコンテンツを観て「この作品は方言が無いじゃないか、リアルじゃない!プンプン」と言い出す人が現れにくいというのは、登場人物が標準語を喋っていても違和感を感じないという「説得力」が、何らかの形で備わっているからなのではないだろうかと自分は考えます。
また、方言を用いない理由として演者が関西人(京都人)を演じられないからだというのは、違うと思います。小松菜奈さんは映画『坂道のアポロン』では長崎弁を話す女性を演じていましたし、福士蒼汰さんは朝ドラ『あまちゃん』で、朴訥とした東北弁男子を演じていましたからね。おそらく原作がそもそも標準語の会話で描かれていたということなのでしょう。つまり、それがヘンだと感じるというのは、作り手の演出や舞台立てにおける怠慢さが出ていると言うことになるのだと思います。個人的には、主人公とヒロインは別に標準語でもいいと思うのですけど、主人公の親御さんだったり、東出昌大さん演じる主人公の友達とかは関西弁キャラでも良かったのではないかなと思いますね。原作での会話を変換して、方言の強弱によるグラデーションが登場人物それぞれにつけられていても良かったのではないかなと思うのですけど、残念ながらこの作品の作り手は、演出方針としてそこまでやらないで良いだろうと見做してしまったのだということだと思います。

■そのほか
これくらいですかね…
書くことが無くなってしまったので、以下は観ながら記入したメモを、決定的なネタバレをしない程度に公開していきます。ちなみにこのメモは自宅で映画を鑑賞する時には必ずつけているモノです。

白い!
回想も白い!
何でもナレーションで心情を説明しすぎ→原作もそう
待ち合わせする前に先にぶらついとけって賢い
「わたし、ずっと貴方のことを観てたんだよ」
食べ物で機嫌が左右されるヒロイン
白い!!
寒がるヒロイン。寒そうじゃない絵面。
ドアが閉じてから「また明日」と言ってもねぇ…
毎日デートて暇なのかこいつら
白い!!!
ビーフシチューの隠し味にチョコレートなんて入れるのか?
(注:メジャーな調理法なようです)
部屋広いのに洗濯機無いの?
キラッキラしてるね
してる時はせめてカーテン閉めろや
ここでタイトルバック?
朝6時に学校来いって呼ぶ必要ある?
学校白い!!
教室白い!!!
説明用の黒板
この話なら安達祐実さんとかがヒロインの方がいいのでは
遂に走っちゃう主人公、洗濯物はー?
てかその場で電話しろや
切ない理由を説明すな
白い!!!!!!
ビーフシチュー再登場
宮崎美子さんの演技が過剰
フィルムカメラなのに室内でフラッシュ焚いてない(カメラにもフラッシュついてない)
回想ぜんぶいらんて
白い!!!!!!!!!
清原果耶さん、可愛いし演技も素敵
そして蛇足シーンが過剰にダラダラ
エンドロール観にく!

※※

ということで、すっごい白い映画でした。
メモにも書いてある通り、清原果耶さんの演技(数十秒ほどですが)が、とても素晴らしかったです。やっぱり彼女は受ける演技が巧いよなぁ…
ヒロインを演じた小松菜奈さんのビジュアルはもちろんとても魅力的でしたし、主人公を演じた福士蒼汰さんも、朴訥な雰囲気自体はとても良かったです。ただ、それ以前の問題として、演出としてやり過ぎで雑、もしくは怠慢な部分が多すぎる作品なのではないかなと思います。
marrikuriさん、ありがとうございましたー!
せーじ

せーじ