カツマ

エヴォリューションのカツマのレビュー・感想・評価

エヴォリューション(2015年製作の映画)
3.6
タイトルに全てが現れている。謎めいていながらすでにネタは明かされているからだ。何か非現実的な出来事が正当化されている世界。美しい映像美と神秘的なまでの気持ち悪さが同居した、新感覚SFムービーだと思えばかわいいものだが、そこに少しの現実味が混ざり合うことによって、グロテスクなドキュメンタリータッチの作品となる。自らを高等生物だと勘違いする人類への、不敵な挑戦状にも思えた。人類の進化はまだ、終わってはいないのだと。

その島には少年と大人の女性しか存在していない。
少年ニコラはある日、水面が煌めく海の底に、ヒトデ型の痣をつけた水死体を発見する。母親に死体の存在を信じてもらえず、ニコラは再び海底に潜ろうとするのだが、それすら母に咎められることになる。
ニコラら、その島の少年たちはある病気のため、黒い液体を飲んで療養していた。だが、その病名を少年たちが知ることはなかった。夜な夜な少年たちは手術台の上に寝かされ、、そして、、

美しさと気持ち悪さは紙一重だ。映像が美しければ美しいほど、この映画に関しては気持ち悪さが増していく。海は生命の起源としての役割をすでに果たし、美しいだけの映像へと姿を変えたのか。そして人類の未来はどうなっていくのか。闇の中に蠢く人類の所業を淡々と眺めていく。そのあまりのシュールさは、感情の揺れ動きを停止させ、ただユラユラと水の底に落ちていくかのようだった。
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