ベルサイユ製麺

エヴォリューションのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

エヴォリューション(2015年製作の映画)
3.3
ルシール・アザリロヴィク監督!
『エコール』の! でもあるし、なんと言ってもあのギャスパー・ノエのパートナーである!(パートナーの定義はよく分かりませんが…)
ソフトに言えばフェティシズムの女王、キツめに言えば変態ペディアとか、数多のビザールを壺に入れ、生き残った最強のビザール=蠱ザールでござーる。

冒頭から暫く海中の風景描写が続き、「ひょっとしてテレンス・マリックみたいになっちゃった…?」と思いましたが杞憂でした。ちゃんと陸に上がるし人間も出るし喋る。
舞台は海に面した街。高い波が岩浜に砕ける淋しい風景。家屋は質素な造り。そして何故か、若い女性と幼い男の子しかいない。いわゆる“おねショタ島”である。
★チーン!1フェチポイントです‼︎…いやいや、全然そんなノリの映画じゃないの。
主人公の少年ニコラは生まれつき身体が弱く、病院に連れて行かれます。ピタッとしたナース服、全裸よりエロい!
★チーン!はやくも2フェチポイント!
…ちょっとまともに説明出来る気がしなくなって来ました。でも、ついふざけたくなってしまうからだけでは無くて、この作品はストーリーの繋がりがとても感覚的で、自分には“アートフィルムになんとなくの物語性が付いたもの”ぐらいにしか理解出来ないのです。モヤモヤ感はリンチやクローネンバーグに近い感じ。なんとなくのジェンダーに対する問い掛けなどが含まれているのだとは思うのですが、その方向性ははっきりとは捉え難く、結局陰鬱な島で繰り広げられるおねショタ絵巻にうつつを抜かすばかりなり…。
撮影は生々しくも美しく、微かにしか響かない劇伴と相まって画面の惹きつける力は流石と言わざるを得ません。ちょこちょことグロテスクシーンが有りますが、それ以上になんとなくの不穏なイメージと、出来事の理解出来なさの方が精神衛生上良くない様に感じられました。勿論、元々ルシールやギャスパー・ノエがお好きな様なら全く問題なし。この作品もお気に召すかと思います!あと、吸盤フェチの方にも。
少年ニコラが海中をスルスルと泳いでいく姿を見て、せっかく五十嵐大介原作『海獣の子供』を映画化するというのなら、こんな風に実写にしてくれたら最高だろうになぁと思いました。アニメだとなんとなく出来栄えの想像ついちゃうのですよね…。

本編、ラスト、エンドロールのバックは、
…闇夜に浮かぶ…こ、工場?
★はい!工場萌え!フェチポイント更に追加〜!