ちろる

エヴォリューションのちろるのレビュー・感想・評価

エヴォリューション(2015年製作の映画)
3.5
はじめに見えた美しい鮮やかなサンゴ礁の海の中の映像が後半は不気味な世界へと変わる。
映像全てがシュルレアリスム。

大事な部分は明かさないぼんやりと推測の域を超えない、ルシール監督の世界は嫌いではないけど、こちらはグロテスクなシーンが多くて、イレイザーヘッドに憧れたというのは少しわかる。
だから何度も目を背けた。

オープニングこそうっとりと見惚れた海中の映像が、ヒトデが埋め込まれた少年の死体の謎のあたりからずっと居心地が悪い。
この物語の大半は太陽の光が降り注ぐ美しい青の海の映像と、薄暗く奇妙な医療行為が繰り返される病院。
どちらも静かだけど不安感がつきまとう。
何もないこの島に生まれ育ったはずのニコラが描く絵にはこの島には無いものがいくつもある不思議がこの奇妙な島の謎の秘密と繋がっていってゾグゾクした。
あくまでアート映画の枠は超えないけど、感情がない生命の繁殖欲で牛耳られた残酷で殺伐とした空気がホラーだった。
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