けんぼー

死霊館 エンフィールド事件のけんぼーのレビュー・感想・評価

3.3
2021年鑑賞111本目。
「ホラー」としてではなく、「愛」についての物語だと考えるのがこのシリーズの楽しみ方なのかもしれない。

人気ホラーシリーズ「死霊館ユニバース」の第3弾。
前作は第1作『死霊館』でメインキャラではなかったものの、強烈なインパクトを与えた人気キャラ「アナベル」のソロデビュー作だったため、主人公である心霊研究家「ウォーレン夫妻」がメインとなるシリーズ本流の作品としては2作目。

物語の流れとしては、第1作『死霊館』と同様、ウォーレン夫妻が実際に起きた心霊事件を解決するというもの。
今回は「エンフィールド事件」が題材。「史上最長期間続いたポルターガイスト現象」として心霊史に残る悪名高き事件で、人々が「ポルターガイスト」という言葉と、その恐ろしさを知るきっかけとなったことでも有名らしい。
正体不明の音・不穏な囁き声・人体浮遊など数々の不可解現象に苦しむ少女ジャネットと4人の子を育てるシングルマザーを救うため、ウォーレン夫妻は恐怖の元凶と対峙することとなるのだが、、、。

率直な感想としては、良くも悪くも「エンタメに振ってきたなあ」って感じ。
最後の悪魔との「バトル」はモンスターVSヒーロー的な印象を受ける。悪魔の造形が第1作と比べてモンスター感が強くなった。第1作『死霊館』では悪魔に取り憑かれた「人」がラスボス的な感じだったが、本作は悪魔そのものがラスボスだったせいかもしれない。「モンスターパニック映画」「ヒーロー映画」感が強くなった気がした。

要所要所に挟まれる心霊描写は確かに怖くて良かったのだが、それも「こうなったら嫌だなあ」っていう予想のまんまだったのがちょっと残念。予想できてしまった。でもやはり「怖い」より「ビックリ」の方が多い。てかほとんどは「ビックリ」。

あと、これはこのシリーズだけでなく、さまざまなホラー作品に該当してしまうことかもしれないが、本作の事件の舞台となる家に住み付いている幽霊が「いたずら好き」すぎるのも気になった。悪戯をするのにも理由があることが物語後半でわかるのだが、「そうだとしても他に方法あるやろ!?」と思ってしまった。

そして結局一番厄介なのは幽霊よりも悪魔。幽霊よりもパワーが強い感じ。
しかし、悪魔が相手だとそれに対抗するための「ルール」があるため、その点では逆に幽霊よりも対応しやすいんじゃね?と思った。
本作のラストバトルでも「なにそれ?そんなルールあったん?」的な驚きがある。
でもそれだと、下手したらなんでもありな感じになってしまう。。。

「真実」かどうかはわからない「事実」とされる出来事を元にした物語だからこそ、その「事実」が「制約」となって、物語的に面白い着地にならない場合があるのかもしれない。

まあ、この映画はホラー作品ではあるけれど、「家族や夫婦の愛」についての物語と捉えることで、自分としては本作の物語の落とし所がしっくりときた。
あくまで「悪魔と人間の戦い」を通して「愛」を描いているのだと。

この後の作品もその視点で見ていこう。

「怖い」映画を見たいのであれば第1作『死霊館』か、黒沢清の作品をお勧めします。
2021/9/5鑑賞